薄型の近未来モックアップ
薄型の近未来モックアップ
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近未来モックアップの裏側。燃料電池セルを,Liイオン2次電池パックの裏に設けている
近未来モックアップの裏側。燃料電池セルを,Liイオン2次電池パックの裏に設けている
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現行技術の利用を想定したモックアップ
現行技術の利用を想定したモックアップ
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現行モックアップの横には,メタノールの残量を目視で確認できる箇所がある
現行モックアップの横には,メタノールの残量を目視で確認できる箇所がある
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左がDMFC利用の携帯型充電器。右の携帯電話機を充電している
左がDMFC利用の携帯型充電器。右の携帯電話機を充電している
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燃料カートリッジ。50ccのメタノールを格納できる
燃料カートリッジ。50ccのメタノールを格納できる
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 東芝は,燃料電池を搭載した折りたたみ型携帯電話機のモックアップなどを,2007年7月18日から開催中の「ワイヤレスジャパン2007」(2007年7月18日~20日,東京ビッグサイト)で出展している。同社が開発中の,ダイレクト・メタノール型燃料電池(DMFC)を利用した。「完成度は高まっている」とするが,発売時期などは未定である。

薄型のモックアップを出展

 東芝が出展したのは,DMFCを搭載した折りたたみ型携帯電話機のモックアップ2種類と,DMFC利用の携帯型充電器,そしてメタノール燃料カートリッジである。このうち携帯型充電器と燃料カートリッジに関しては,既に海外の展示会で出展済みだった。2種類のモックアップに関しては,今回初めて出展したもの。

 2種類のモックアップは,「近未来モック」と「現行モック」である。「現行モックは,現行の技術で試作することを想定した場合である。一方で近未来モックは,さらに周辺技術の改良が進んだ場合に実現したい目標である」(ブースの説明員)と説明する。近未来モックは,携帯電話機の電池パックの背面に,約7mmの厚さで燃料電池セルと燃料タンク(容量が6~7cc)を実現することを想定している。現行モックではそこまでの薄型化は実現できていない。一方で,現行モックアップでは燃料タンクの残容量を目視で確認するための,容量計が設けられている。「いずれのモックアップも,1回の燃料充填で,携帯電話機のLiイオン2次電池を2回,満充電することを想定する」(ブースの説明員)という。

燃料カートリッジの先端部に工夫

 一方でDMFC利用の携帯型充電器は,実際に駆動する試作機である。重さが180gで,外形寸法は120mm×55mm×25mm,出力は3Wである。内部に容量が10ccの燃料タンクを備えており,「携帯電話機を2~3回程度満充電にできる」(ブースの説明員)という。ポンプなどを利用しないパッシブ型の構成を採っている。メタノールの濃度は約98%。出力を高めるためにLiイオン2次電池を内蔵するが,容量は明らかにしていない。会場では,東芝の海外向け携帯電話機を,USBインタフェースを通じて充電する様子を見せた。同携帯電話機は1200mAhのLiイオン2次電池を搭載するが,「約3時間で充電できる。燃料は約3ccほど消費する」(ブースの説明員)としている。

 燃料カートリッジは,約50ccのメタノールを格納できる。携帯電話機や携帯型充電器などに,ユーザーが自分で燃料を充填する利用形態を想定している。充填時にメタノールの液漏れなどを防ぐ目的で,カートリッジの先は細長いストロー状になっている。「液漏れを防ぐため,充填中にカートリッジの角度が変わると,液体の供給が止まるような仕組みになっている」(ブースの説明員)という。なおこうした部分に関しては,写真撮影は許可されなかった。

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