KDDIの小野寺氏
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KDDIの技術マップ
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移動体通信技術への取り組み
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コグニティブ無線による被災地の自律ネットワーク構築
コグニティブ無線による被災地の自律ネットワーク構築
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 KDDI 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は,2007年7月18日から開催中の「ワイヤレスジャパン2007」において講演し,移動体通信に関する今後の技術開発の方向性について語った。

自ら手掛けたい

 まず現在の無線アクセス技術に関しては,CDMA2000 1xEV-DO Rev.Aの導入について触れ,「Rev.Aで上りリンクのデータ伝送速度が高速化する意義は大きい。ユーザーが創出するコンテンツの利用など,様々なサービスにつなげられる」(小野寺氏)との見方を示した。2006年後半に導入した一斉同報配信サービス「BCMCS」に関しては,「あまり注目されていないが,BCMCSの導入により,EZニュースフラッシュなどサービスの範囲が広がっている」(小野寺氏)という。

 携帯電話機向けのマルチメディア配信サービス「MediaFLO」では,「何故KDDIはMediaFLOに注力するのかと,頻繁に聞かれる。ワンセグでもいいじゃないかと。我々が何故MediaFLOをやるのか。それは,次世代のマルチメディア放送を自ら手掛けることが大事と思っているからだ」(小野寺氏)と,サービス内容を含めて自社が主体となって設計できる点に,ワンセグには無い魅力を感じているという。

 OFDMAを利用する3.9世代の「UMB」や第4世代移動体通信システム「IMT-Advanced」に関しては,具体的な取り組み内容に関する言及は無かった。

災害時の自律ネットに期待

 一方で注力ぶりを鮮明にしていたのが「コグニティブ無線」である。周囲の電波環境や利用できる帯域,通信方式などを動的に認識し,複数の通信方式を使い分ける無線通信システムだ。「トラヒックが混んでいる場合,ユーザーにとってはどの通信方式を利用しても,データ送受信がきちんとできればいい。それが3Gだろうが,なんだろうがかまわないだろう。こうした手法は,既に技術的には可能になっている」(小野寺氏)。

 コグニティブ無線は,大都市での災害時に非常に有用との認識も示した。「被災地で迅速な自律ネットワークを構築する上でも重要だ。例えば先日,新潟でも地震があったが,こうした際に携帯電話網がダウンしてしまう場合がある。もしダメになったとしても,ある程度のことをできるようにしたい」(小野寺氏)と,災害時に基地局が利用不能になった際にも,携帯電話機が自律的なネットワークを構成するといった手法を検討しているという。ただしこの際には,無線方式の選択や,端末を経由してデータを伝送する際のルート選択など,端末側に新たな仕組みが必要になるため,さらなる技術開発が必要とした。なおKDDIは,今回のワイヤレスジャパン2007において,モバイルWiMAXや無線LANなどと組み合わせたコグニティブ無線システムについて出展している。

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