矢野経済研究所は,国内のカー・エレクトロニクス市場に関する調査を実施,2012年まで各分野で右肩上がりの成長を予測した。

 調査は,2007年1月から6月にかけて,関連メーカー50社に面接や電話,メールで取材するかたちで行った。コモンレールやCVT(無段変速機)などのエンジン制御分野,電子制御サスペンションやESC(車両安定化装置)などの走行分野,エアコンやキーレス・エントリ・システムなどの車室内制御分野,エアバッグなどの衝突安全分野,居眠り運転防止システムやタイヤ空気圧低下警報システムなどの予防安全分野の5つに分類して国内生産台数を調べた。


カー・エレクトロニクスの国内生産台数の推移(2001~2012年,単位:百万台)

 これによれば,成長が著しいのは予防安全分野。2007年は前年比38.8%増の329万1000台を生産する見込みで,2008年も34.5%の成長を見込んでいる。成長率は年々小さくなっていくものの,2012年でも19.6%と2ケタの成長が予測されている。市場の成長がこのまま続けば,2015年から2020年にかけて,エアバッグやABS(アンチロック・ブレーキング・システム)のような標準搭載システムになる可能性もあるという。特にバック・モニタはカーナビとのセット販売が功を奏して2006年時点で既に100万台を超えており,今後もさらなる普及が見込めるとする。

 矢野経によれば,予防安全システムは日本メーカーにとって他国車との差異化において「勝負を左右する決め球」。プリクラッシュ・セーフティ・システムなどを搭載したトヨタ自動車の「レクサスLS460」をはじめ,今後,予防安全システムは世界中のあらゆる地域で生産される日本車に搭載されるようになり,欧州メーカーもこれに対抗してくると同社は予測する。

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