図1 ISDB-Tファミリーのマイグレーション
図1 ISDB-Tファミリーのマイグレーション
[画像のクリックで拡大表示]
図2 スケジュールと端末
図2 スケジュールと端末
[画像のクリックで拡大表示]
図3 ISDB-Tmmの技術1
図3 ISDB-Tmmの技術1
[画像のクリックで拡大表示]
図4 ISDB-Tmmの技術2
図4 ISDB-Tmmの技術2
[画像のクリックで拡大表示]
図5 サービス・イメージ(プッシュキャストの例)
図5 サービス・イメージ(プッシュキャストの例)
[画像のクリックで拡大表示]

 「Interop Tokyo 2007」と併催の形で開催されている「IMC(Interop Media Convergence) Tokyo 2007」において,ISDB-Tマルチメディアフォーラム(ホームページ) 幹事長の岡村智之氏(フジテレビジョン デジタル技術推進室 部長)が講演した。ISDB-Tマルチメディアフォーラムは,地上アナログ・テレビ放送終了後に空くVHF帯の周波数を利用して実用化することを念頭に,現行の地上デジタル放送「ISDB-T」を基にしたケータイ機器向けマルチメディア放送「ISDB-Tmm」の検討を進めている。

 ISDB-Tは,6MHzある1チャネルの帯域を13個のセグメントに周波数分割して利用できる。現行のワンセグは,1個のセグメントだけを利用しているのに対し,ISDB-Tmmはすべてのセグメントを利用してマルチメディア放送の提供を目指す。今回の講演では,ワンセグの現状,次世代ワンセグの必要性,ISDB-Tmmの概要,ISDB-Tmmを利用したサービス・イメージなどを説明した後,ISDB-Tmmの戦略を語った(図1,図2)。

 それによるとISDB-Tmmの放送開始は,アナログ放送の終了後1年程度の準備期間を置いて2012年を想定する。ただし,「ゼロからの出発ではなく,数千万台からの出発だ」(岡村氏)と語った。なぜ,サービス開始当初からこれだけの対応端末が存在すると想定できるのか――。その秘密がギャップ・フィラーである。

 ギャップフィラーとは一般に,テレビ局の電波が直接届かない地域に対して,放送波の電波を受信して再送信する設備のことである。例えば,地下鉄や地下街などにおいても,切れ目無く放送サービスを提供するために利用する。ワンセグ用のギャップフィラーとしては,ワンセグの放送信号の周波数を再配置し,ひとまとめにして再送信する形態が検討されている。つまり,このギャップフィラー対応受信端末はひとまとめにした放送サービスを受信できる能力を持つため,そのままISDB-Tmm対応端末になるというわけだ。

 このギャップフィラー対応端末の出荷が2010年ころから始まるとすると,2012年には数千万台普及していることになる。この台数をベースに,一気にISDB-Tmmのサービスを立ち上げるという戦略のようだ。