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 横河電機は現在開催中の展示会「INTEROP/IMC TOKYO 2007」(千葉県・幕張メッセ,2007年6月13~15日)で,「40G DQPSK トランスポンダ」を出展した。送信方向と受信方向それぞれで最大43.018Gビット/秒のデータ伝送が可能である。

 このトランスポンダは,横河電機と富士通,および富士通研究所が2007年3月に共同開発したもの。横河電機と富士通が2006年3月に光通信事業で提携してからの初めての成果となる(Tech-On!の関連記事)。既に,米国の光通信技術の国際学会および展示会である「Optical Fiber Communication Conference(OFC)2007」に出展済み。ただし「国内の公開ではこのINTEROPが初めて」(横河電機)という。

 DQPSKは,Differential Quadrature Phase Shift Keying(差動4値位相変調)の略。今回の実装では,1方向で20GHz分の周波数帯域の光信号に4値変調をかけることで,40Gビット/秒のデータを伝送する。「これで光ファイバを敷設しなおさなくても長距離の伝送が可能になる」(横河電機)。

 というのも,これまで40Gビット/秒のデータ伝送は,40GHz分の周波数帯域と2値変調のDPSKを用いていた。ところが,光ファイバの偏波モード分散(PMD:polarization mode dispersion)が大きい,やや古い光ファイバの場合,この2値変調は100km以上の長距離には向かないという課題があった。DQPSKは,変調の多値度を2値から4値に,周波数帯域を40GHzから20GHzにすることで,伝送部分の品質への依存性を抑える技術と言える。

 ただし,4値変調にするトレードオフとして「デジタル回路が複雑になる」(同社)問題が生じる。その結果,DQPSKのトランスポンダの外形寸法はヒートシンクを含めて,320mm×110mm×40mmで,DPSK版トランスポンダの2倍近い大きさになった。

 横河電機は,すでに一部のユーザー向けに出荷を始めているが,一般ユーザーに発売する時期は「まだ決まっていない」(同社)という。