インフォメーション・レジストレーション・カードを使った利用者情報登録の枠組み。製品を販売する事業者が利用者情報の登録に責任を持つ形になる。第7回 製品安全小委員会の配付資料から
インフォメーション・レジストレーション・カードを使った利用者情報登録の枠組み。製品を販売する事業者が利用者情報の登録に責任を持つ形になる。第7回 製品安全小委員会の配付資料から
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インフォメーション・レジストレーション・カードのイメージ。点検制度の概要を説明する部分と,利用者情報を記入する部分に分かれる。第7回 製品安全小委員会の配付資料から
インフォメーション・レジストレーション・カードのイメージ。点検制度の概要を説明する部分と,利用者情報を記入する部分に分かれる。第7回 製品安全小委員会の配付資料から
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 経済産業大臣の諮問機関である産業構造審議会 消費経済部会傘下の製品安全小委員会の第7回会合が,2007年6月12日に行われた。点検対象製品のトレーサビリティを確保するための方策などが話し合われた。

 製品安全小委員会は現在,2006年12月に改正され,2007年5月14日に施行されたばかりの「消費生活用製品安全法(消安法)」の再改正に向けた審議を行っている。具体的には,重大事故の原因になりやすい,ガス器具や暖房器具などの家電製品に対して,製品出荷10年後を目安とした点検制度の義務化を検討中だ。製品安全小委員会は5月29日に第5回が再開されて以降,週1回の早いペースで審議を続けており,6月28日に予定される第9回会合でこの件に関する「中間とりまとめ」を作ることを目指している。順調に作業が進めば,秋には法制化される見通しだ。

 定期点検制度の対象になる指定製品は,CO中毒事故や火災の原因になりやすいガスや電気を使った暖房器具などのうち,専門の業者が設置工事を行うタイプの製品に絞ることが,これまでの会合でほぼ決まっている。具体的にはガス瞬間湯沸かし器やFF式暖房機,浴室乾燥機などが例に挙げられている。これらはいずれも2005年から2006年にかけて,実際に重大な事故を起こした製品である。

 今回行われた第7回会合では,メーカーが点検時期の到来を利用者に知らせ,点検をうながすために使う利用者情報の登録の仕組みや利用者負担となる点検費用の支払い方法をめぐって議論が交わされた。

 点検費用の支払いは,点検実施時に支払う後払い方式が事務局案として提案された。製品の購入時に徴収する前払い方式では,点検の実施前に消費者が製品を買い換えたり,メーカーや輸入事業者が倒産したりした場合に,点検費用の扱いに不公平が生じることや,10年後の点検費用を今から推定するのが難しいといった問題点があるためだ。消費者団体の代表からいくつか反対意見が出されたものの,おおむね後払い方式に賛成意見が多く,その方向でまとまりそうだ。

 利用者情報の登録については,事務局サイドから「インフォメーション・レジストレーション・カード」と呼ぶ登録カードを作り,製品の販売時に利用者が記入して販売事業者がメーカーや輸入事業者に送付する仕組みが提案された。つまり,登録の必要性を説明し,利用者の住所情報などの正確な記入をうながしたり,記入済みの登録カードをメーカーに確実に返送する責任を,販売事業者が負う形になる。

 このため,販売事業者関連の代表の一部から「制度はシンプルにすべき」などと遠回しな表現でいくつか反対意見が出た。これに対し,会議に同席した経産省の松井英生 商務流通審議官から,議論を聞いての感想という形で,「一連の消安法改正の意義は日本に製品安全の文化を根付かせること。メーカー,消費者,販売・流通事業者のそれぞれが,製品安全に自ら最大の責任を果たすという気概で取り組んでほしい。責任を回避するような意見が出たのは残念」などと述べて,取りなす一幕もあった。