米国際貿易委員会(International Trade Commission:ITC)は2007年6月7日,米Broadcom Corp.が保有する特許を侵害していることが明らかになったとして,米QUALCOMM Inc.のチップおよびチップセットと,それらが搭載された携帯端末の米国への輸入を禁止する命令を発行した(発表資料)。ITCは,QUALCOMM社のベースバンド・チップがBroadcom社の保有する特許米国特許番号「6,714,983」を侵害していると認めた。同特許は,携帯電話機の電源管理技術に関するものだという。

 ただし,今回の輸入禁止命令では,Broadcom社の特許を侵害しているQUALCOMM社のチップおよびチップセットを搭載している携帯端末であっても,命令の発行された6月7日あるいはそれ以前に一般販売のために輸入された端末と同じモデルの端末は適用の除外となる。輸入を禁止されるのは,特許侵害に関わるチップおよびチップセットを搭載した新モデルの端末である。加えて,ITCはQUALCOMM社が米国の中で特許侵害に関わるチップに関連した事業に関わることを停止するよう命令を出した。

 QUALCOMM社は,今回の輸入禁止命令を受け,米連邦巡回控訴裁判所に命令の執行保留を申し立てる意向を明らかにした(発表資料)。また,ITCの決定に対する大統領拒否権も求めるという。QUALCOMM社は,この命令が執行されれば,米国の消費者に損害を与え,公共安全と国家安全保障に影響を及ぼすとしている。