「COMPUTEX TAIPEI 2007」で米Microsoft Corp.のブースは,前年より明らかに多くの来場者を集めていた。3号館にあるこのブースでは,組み込み向けWindows(Mobile,Embeded,Storage Server)を扱っている。
Microsoft社にとって台湾は「ホーム」といえる。同社は,パソコン産業の主役である台湾企業に深く食い込んでいるからだ。しかし組み込み向けWindowsブースは前年まで,注目を集めていたとはいえなかった。あまり混み合わなかったので,大手の設計・製造受託企業(EMS企業)に話を聞ける穴場だった注1)。
注1)大手EMSの多くは,COMPUTEXの会場にブースを構えていない。一部の自社ブランド部門だけが出展していたり,会場近くのGrand Hyattなどに私設ブースを設けていたりする。
ところが今年は,まずまっすぐ歩けず,落ち着いて話をできなかった。話をしている間に,ほかの来場者の肩やバッグがぶつかったことも一度や二度ではない。
こうなった理由は,スマートフォンとPNDの市場が立ち上がったことにある。Windows Mobileを使うスマートフォンの最大手である台湾High Tech Computer Corp.(hTc,宏達國際電子)は,2007年に「1000万台に迫る台数を出荷する」(スマートフォンの設計・製造受託企業)との推測もある。
Windows Mobileを使うと他社と差を付けにくいので,hTcのようにブランドを強化すべきでは?--あるEMS企業の幹部にこうした質問をぶつけると「ソフトウエアなどで十分差を付けられる」と答えた。「Microsoft社のリファレンス・デザインは,そのままでは使い物にならない。各種のデバイス制御を含めて電池寿命を延ばすことが不可欠。パソコンと同様,サプライ・チェーンや物流の管理でも差をつけられる」(EMS企業の幹部)という注2)。
注2)Windows Mobileを使うスマートフォンの展示機の詳細は,ITProの記事が詳しい。
一方PNDは,台湾MiTAC Inc.(神通電脳)グループの台湾Mio Technology社(宇達電通)や,台湾ASUSTeK Computer, Inc.(華碩電脳)がMicrosoftブースで展示していた。このほかに,おそらく20社前後がPNDをCOMPUTEXの会場で展示していた。こちらは近日中に別途記事を掲載する。