Linuxのセキュリティや信頼性向上に向け，CRESTのプロジェクトが始動

日経エレクトロニクス

2007.05.29

　科学技術振興機構（JST）は，「CREST（戦略的創造研究推進事業）」の一つとして，Linuxなどの組み込みOSのセキュリティや信頼性向上に向けたプロジェクトを強化する。2006年から開始した同分野のプロジェクトの第2期を開始すると同時に，東京・秋葉原に実用化のための拠点となる「Dependable Embedded OS R&Dセンター」を立ち上げた。センター長には，日本IBMでThinkPadなどの開発を統括していた屋代眞氏（現，日本IBM 開発製造 R&D イノベーション・サービス企画担当理事）が2007年6月5日付けで着任する予定である。　今回のCRESTのプロジェクト名は，「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」である。研究チームの採択などを行うCREST側の研究統括者は，リアルタイムOS「Apertos」などの開発者として知られるソニーコーポレート・エグゼクティブ SVP 技術渉外担当およびソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長の所眞理雄氏（元慶應義塾大学理工学部教授）である。所氏によると，基礎研究の傾向が強いCRESTのプロジェクトにおいて組み込みOSのような実用に根差した研究を行ったり，さらに研究員を直接雇用するR&Dセンターを設けたりすることは珍しいという。　プロジェクトには，現時点で大学による五つの研究チームが参画している。具体的には，東京大学大学院情報理工学系研究科情報基盤センター教授の石川裕氏のチーム，筑波大学大学院システム情報工学研究科教授の佐藤三久氏のチーム，慶應義塾大学環境情報学部教授の徳田英幸氏のチーム，早稲田大学理工学術院教授の中島達夫氏のチーム，東京大学大学院情報理工学系研究科助教の前田俊行氏のチーム，である。今後，第2期としてさらに数チームが加わる見通しである。