富士キメラ総研は,消費者向けデジタルAV機器の市場調査の結果を発表した(発表資料)。国内において注目される市場は,液晶テレビやPDPテレビ,次世代テレビの市場と,次世代DVDレコーダー及びプレーヤー市場,デジタル一眼レフ・カメラ市場だという。

 2006年における国内の液晶テレビの出荷台数は対前年比34.9%増の580万台。製品の低価格化に加えて,地上デジタル放送を視聴できる地域が拡大したことが,CRTテレビからの買い替えを加速させた。低価格化が進んでいるものの,出荷金額は前年実績を33.2%上回り,5600億円だった。大画面化やフルHD対応製品の出荷が増えたことが影響したという。現在出荷の中心となっているのは30~40型の液晶テレビだが,今後はより大型の製品が主流になり,現在PDPテレビが優勢な50型以上の製品の出荷も増加するとみる。2011年における国内の液晶テレビの出荷台数は990万台に達し,テレビ市場全体(携帯型のテレビを除く)の87%を占めると富士キメラ総研は予測する。

 2006年のPDPテレビの国内の出荷台数は,対前年比63.8%増の77万台,出荷金額は同31.4%増の1550億円だった。2011年には,PDPテレビの出荷台数は142万台まで増大し,テレビ市場全体(携帯型のテレビを除く)の12%を占めると見込む。中でも,液晶テレビと比べてコスト・メリットの高い50型以上の製品の出荷が増えるという。

 次世代テレビとして注目するのはSEDテレビと有機ELテレビ。SEDテレビは,高画質を求めるユーザーからの需要が拡大すると予測する。有機ELテレビは,液晶テレビと比べて薄く軽量で,消費電力も低いといった特徴を持つことから,液晶テレビに代わる次世代テレビとしての需要が見込めるという。両製品とも,発売は2007年中となる見通し。本格的な市場の立ち上がりは,アナログ波のテレビ放送が中止となる2011年までの買い替え需要によると予測する。

 2006年の国内の次世代DVDレコーダー及びプレーヤーの出荷台数は4万台,出荷金額は70億円だった。国内ではレコーダーの需要がプレーヤーに比べて非常に大きく,レコーダーの出荷金額は対前年比309.5%増の69億円,プレーヤーの出荷金額が8000万円。価格の高さやBlu-ray DiscとHD DVDの規格争いによる買い控えなどが影響して,2006年のDVDレコーダー市場全体に占める次世代DVDレコーダーの割合は1.2%,プレーヤー市場全体に占める次世代プレーヤーの割合は0.1%である。しかし,消費者のHD画像対応の映像視聴ニーズは高まっており,今後,高出力レーザの歩留まりなどが改善して次世代DVD装置が低価格化すれば,需要は大幅に拡大する見通しという。Blu-ray DiscとHD DVDの両規格に対応するプレーヤーは,韓国LG Electronics,Inc.から北米市場で既に販売されており,国内では2008年に発売される見通し。現在は単一規格に対応するプレーヤーと比べて価格が高いが,低価格化が実現すれば需要は拡大する見込みだ。

 デジタル一眼レフ・カメラの国内出荷台数は,コンパクト・カメラからの買い替え需要などで対前年比30.9%増の72万台だった。出荷金額は同17.9%増の460億円。コンパクト・カメラの価格下落を受け,メーカーは収益率が高く,交換レンズやアクセサリなど周辺製品の販売も期待できるデジタル一眼レフ・カメラへ注力している。

 上記のテレビやDVD装置,カメラなどを含む「映像機器」全体の2006年の国内出荷額は1兆8278億円。2011年には2兆973億円に拡大する見通しだ。

 その他の市場を見ると,2006年の「音響機器」市場全体の出荷額は2333億円。HDD内蔵のコンポやホーム・シアター向け機器が市場を牽引する。ホーム・シアター向け機器では,フラットパネル・ディスプレイ・テレビの大型化に伴い,映画に加えスポーツ番組などで臨場感のある音を楽しみたいというニーズが現れ始めており,スピーカー市場が拡大してきているという。しかし,2011年には市場は現在より縮小して,2173億円に落ち込むという。

 2006年の「エンターテインメントおよび情報機器」市場の国内出荷額は,2兆1078億円。任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii」や「ニンテンドーDS Lite」,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の据え置き型ゲーム機「プレイステーション 3」などの新製品の投入で,市場は拡大した。加えて,ワンセグ放送や電子マネーなど新たな機能に対応する携帯電話機の需要も大きいという。2011年に同市場は2兆1431億円を見込む。

 カー・ナビゲーション・システムの販売が好調な「カーAV機器」市場の2006年の出荷額は,2025億円。2011年には2310億円と予測する。また,2006年の「メモリーカード」市場の出荷額は995億円で,デジタル・カメラ,携帯電話機向けのSDメモリーカードが市場を牽引した。xD-ピクチャーカードとCompactFlashカードを採用する製品には,SDメモリーカードにも対応するものが現れてきており,SDメモリーカードへのユーザーの移行が見込まれる。2011年には,同市場は若干縮小して969億円になる見通しという。