左が従来品,右が開発品
左が従来品,右が開発品
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計測部と本体とパソコンで構成
計測部と本体とパソコンで構成
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光源と検出器をそれぞれ8個ずつ内蔵
光源と検出器をそれぞれ8個ずつ内蔵
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測定例
測定例
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 日立製作所 基礎研究所は,重さが約1kgと軽い携帯型の光トポグラフィ装置を試作した。日常生活における脳活動の計測が容易になるため,「光トポグラフィが医療分野だけでなく,身近なものになる。例えば,毎日測定して変化を見ればヘルスケアに役立つかもしれない」(日立製作所)とした。このほかの応用分野として,心理学やマーケティング,教育分野などを挙げた。

 光トポグラフィ法は,微弱な近赤外光を頭皮上から照射して,脳活動にともなう脳内血液量の変化を測定する手法である。2001年に日立メディコが医療用として発売した装置は,装置本体が大きくて重いために,日常生活の脳活動を測定するには適さなかった。

 今回開発した光トポグラフィ装置は,頭に装着する計測部が約400gで,腰などに身に付ける装置本体が約630gと軽い。計測部には,小型の面発光レーザーとフォトダイオードをそれぞれ8個ずつ内蔵した。データの表示や解析には,無線LANで接続したパソコンを使う。これらの工夫と,測定部位を前頭前野に絞ったことで,小型・軽量化が実現した。

 計測部と装置本体は,内蔵した2次電池で3時間の駆動が可能。消費電力削減のために,8個の光源を時間差をつけて発光させている。さらに雑音を除去するために,光源を1kHzで点滅させ,これに同期した信号のみを検出するようにした。

 1台のパソコンで,合計24台の測定装置の制御やデータ表示が可能なことから,集団活動やコミュニケーション時の脳活動の測定などにも利用できる。なお,今回のシステムの実用化時期は未定である。

NIKKEI MICRODEVICESでは2007年6月号で,健康管理や予防医療といったヘルスケア関連の最新技術動向について解説記事「ヘルスケア機器の連携加速,センサーや無線チップの市場拡大へ」を掲載予定です。