富士通は,IEEE802.16e-2005に準拠したモバイルWiMAXの端末向けベースバンド処理LSI「MB86K21」を発売した(発表資料)。サンプル時の単価は3500円。2007年8月31日に全世界に向けて出荷するという。固定通信用のWiMAX向けLSIを手がけてきた同社にとって,初のモバイルWiMAX向け製品となる(関連記事)。

 MB86K21は,モバイルWiMAXの最新の認証用仕様「Wave 2」に準拠し,同仕様で規定されている2×2の2×2のMIMO技術を実装した。MIMOにはデータの送り方や信号処理方式の違いなどで複数種類があるが,今回は「Matrix A」と「Matrix B」の両方を実装した。Matrix Aは,伝送速度よりも通信距離などを伸ばすSpace Time Coding技術を指し,Matrix Bは,主に伝送速度を高める技術である。さらに90nmルールのプロセス技術で製造したことで,低消費電力を実現できたという。具体的には,伝送速度が18.6Mビット/秒の場合に消費電力は240mWである。