写真1●RSコンポーネンツが増床した横浜ロジステックスセンター。丸で囲った部分に青い洗濯ばさみが見える
写真1●RSコンポーネンツが増床した横浜ロジステックスセンター。丸で囲った部分に青い洗濯ばさみが見える
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●梱包作業場。検品を行いながら,RSロゴがついた箱にパッキングしていく
写真2●梱包作業場。検品を行いながら,RSロゴがついた箱にパッキングしていく
[画像のクリックで拡大表示]

 電子部品や機械部品などの販売会社,アールエスコンポーネンツ(RSコンポーネンツ)は,2007年4月14日に増床を完了した横浜ロジスティクスセンター(横浜市瀬谷区)を報道陣に公開した。横浜ロジスティクスセンターは,物流業者,日本ロジテムの横浜第一営業所の一部を借りる形で運営している。これまで3スパン,3808m2だったが,隣の1スパンを追加し,4スパン,5198m2になった。こうした施策によって2007年度に前年度比20%増の約50億円に売り上げを増やすことを見込む。

 今回の増床の狙いは大きく3つある。第1に在庫品種の増加である。従来の床面積では既に7万1000品種の収容でいっぱいになっており,今回の増床で8万5000品種まで増やせるようになった。さらに,自らは在庫を持たずに他社から取り寄せる製品数も増やす。これにより「部品表で注文を受けても半分以上は『出荷可能』として回答できるようにしたい」(RSコンポーネンツ代表取締役社長の浜本宏氏)。

 第2に,梱包形態を顧客の要求に応じて変えること。例えば,従来は5個入りの商品を40袋納入するといった固定的なパッケージングしか取れなかったが,顧客が「一括梱包してほしい」と言えば200個入りの1袋で納入できるようにするのが目標である。そうした「フレキシブル・パッケージング」のための作業場「バゲージング・ルーム」を増床部分に新設した。バゲージング・ルームは静電気対策を施し,電子部品をビニールから取り出したときに静電気で破損することを防いでいる。

 第3に,大量購入時にディスカウントを行う制度の本格導入に備えた在庫積み増しである。同社は,1回の購入額が一定以上の場合に料金を割り引く制度を2006年12月に導入したのに続き,2007年1月には一部の商品について,多くの個数を購入した際に単価を下げる制度も導入した。2007年9月に新たなカタログを発行するのに合わせて,半導体関係はすべて多数個購入時の割引制度を適用する予定である。これまでは,1回の注文あたりの金額が「平均1万5000円程度にすぎなかった。なぜか各国にあるRSコンポーネンツのグループ企業でも同程度の金額だ」(浜本社長)。しかし,増床によって在庫数を積み増すことで,本格的なボリューム・ディスカウント制度を導入し,1回の注文あたりの金額の増加を狙う。

青い洗濯ばさみの使い道

 今回の増床にともない,運用上の工夫も随所に盛り込んだ。例えば,商品棚を見ると,ところどころに青い洗濯ばさみが付いているのが目にとまる。これはいったい何なのか? 商品棚に空箱があった場合,商品がたまたま在庫切れになって空なのか,あるいは入れるべき商品が決まっていない未使用の箱なのかわからない。そこで未使用の箱に青い洗濯ばさみをつけるようにした。「(未使用箱に印をつける方法として)いろいろ試してみたが,洗濯ばさみが一番良かった」という。

 商品を小分けするビニール袋にはバーコード付きシールをはるが,これは手作業で行っている。いったんは自動ラベルはり機も導入したのだが,さまざまな大きさの部品袋に対応しなくてはならないのに柔軟性に乏しかったという。その点,人であれば,随時対応ができる。スピードも人の方が上だ。シールを台紙からはがすのに,1枚ずつめくってはがすのではなく,台紙を鋭角に折り曲げる治具を作業者が段ボールで作り,連続的に台紙をはがせるようにして,作業効率アップを図っていた(ビデオ参照)。

 横浜ロジスティクセンターが忙しくなるのは夕方,16時半くらいから18時くらいまでだという。これは,18時までに受けた注文は同日中に出荷することをうたっているからだ。実際,注文の約98%に対して同日中に注文の一部分だけでも出荷する体制を確立できている(受注した全商品を揃えて同日中に出荷できるのは92%程度)。ところがお昼過ぎまでは比較的出荷作業は少ない。こうした作業量の変動に対して,RSコンポーネンツではピーク時に合わせた作業員を雇うのではなく,日本ロジテムにアウトソーシングしている。夕方になると他の部署から作業者がRSコンポーネンツのフロアに続々と集まり,ピーク時の処理をこなしている。

 倉庫の床面積を3割近く増やしたRSコンポーネンツは,バーコードの全面採用や,ベルトコンベアの導入を検討している。とはいえ導入コストに見合った効果を上げるには,まだまだ検証が必要なようだ。物流基盤の強化で,さらなら顧客満足度の向上を図っていく考えだ。

動画 「少量多品種に対応したRSコンポーネンツの倉庫」(約1分33秒)
ビデオ再生にはWindows Media Playerが必要です。
再生ボタンをクリックするとビデオが始まります。

Powered by BPtv