会見の様子
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 ソニーは,2006年度(2006年4月~2007年3月)の業績を発表した。エレクトロニクスやゲーム,映画部門の売上げの伸びにより,売上高は前年同期比10.5%増の8兆2957億円となった。しかし営業利益は前年同期比68.3%減の718億円となった。プレイステーション3(PS3)の導入にともなうゲーム部門の大幅な損失,金融部門での減益,ノート・パソコン向け電池の自主回収と自主交換プログラムに関わる費用の引き当て(512億円)などが要因である。

ゲーム部門は「2008年度黒字化」を目指す

 減益の大きな要因となったゲーム部門の営業利益は前年同期比で2410億円減り,2323億円の赤字となった。主にPS3の製造コストを下回る価格での販売が大きく影響したためである。業績発表の会場からはゲーム事業の見通しについて質問が飛び交った。2007年度の見通しに関する質問に対しては,「赤字は残る」(ソニー)と回答し,黒字化の時期に関する質問には,「2008年度には黒字化したい」(同社)と応えた。ただしテコ入れ策については明言を避けた。

PS3は550万台出荷,PSPは41%減

 ゲーム部門の売上高はPS3の販売開始などにより,前年同期比6.1%増の1兆168億円である。2006年3月末の時点で550万台出荷している。ソフトウエアの生産出荷数は1320万本である。PSPの生産出荷台数は大幅に減少し,前年同期比41%減の836万台。ただしPSP向けソフトウエアの生産出荷数は前年同期比30%増の5410万本となった。プレイステーション2(PS2)の生産出荷台数は前年同期比12%減の1420万台,ソフトウエアは同13%減の1億9300万本である。

 ゲーム機のシェアに関しては,ソニーによれば2007年3月時点で,日本での据置型ゲームで見てみると,PS2が約18%,PS3が約20%,任天堂の「Wii」が約58%を占めるという。北米では,Wiiの約16%に対してPS2が約33%,PS3が約8%を占め,状況が違っていると強気な姿勢を見せた。欧州圏ではいずれも30%程度としている。

 2007年度のゲーム機の生産出荷台数の見込みは,PS3が1100万台,PSPが900万台,PS2が1000万台とした。ソフトウエアの生産出荷数に関しては,全体で2億5000万本と予想する。

 金融部門も不調で,売上高は前年同期比12.6%減の6493億円,営業利益は同55.3%減の841億円と減収減益となった。

エレキ部門は好調,PS3向け半導体も牽引

 エレクトロニクス部門は前年同期比16.9%増の6兆505億円で,営業利益は1498億円増加の1567億円となった。国内外の全地域での液晶テレビやデジタル・カメラの売上げと,海外でのパソコン販売が好調だったためだという。ただしブラウン管テレビは減収となった。

 PS3向け半導体の売上げもエレクトロニクス部門に貢献したという。2006年度の半導体事業の売上高は約7800億円で,そのうち外販が30%を占める。残り70%のほとんどがゲーム向けの半導体だと説明する。

 映画部門も好調で,売上高は前年同期比29.5%増の9663億円,営業利益は同55.7%増の427億円の増収増益となった。このほか,携帯電話機事業を手掛けるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは,売上高が前年同期比49%増の118億9200万ユーロ,税引き前利益が同154%増の15億900万ユーロと,いずれも過去最高である。販売台数は前年同期比51%増の約8330万台となった。

設備投資はCMOSセンサ,研究開発はソフトウエア分野に注力

 2007年度の設備投資額の見通しは前年度に比べて6%増の4400億円。このうち「CMOSセンサにだいぶウエイトを置く」(ソニー)。半導体向けは1300億円と,前年度の1500億円よりも減額する。

 2007年度の研究開発費の見通しは前年度に比べて1%増の5500億円。ソフトウエア関連に注力し,有機ELやネットワーク関連にも力を入れていくという。

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