図1 パイオニア 専務取締役の石塚肇氏
図1 パイオニア 専務取締役の石塚肇氏
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 パイオニアは2006年度(2006年4月~2007年3月)の連結決算を発表した。売上高は,前年度比5.6%増の7971億200万円だった。営業損益は,前年度の164億900万円の赤字から124億8700万円に黒字化した。黒字化できた要因として,カーナビやパソコンなどに向けたDVDドライブの売り上げが増加したこと,事業構造改革により原価を削減できたことなどを挙げる。

 セグメント別では以下の通り。カーエレクトロニクス部門では,売上高が前年度比8.3%増の3578億円,営業利益は生産拠点の統廃合などによって同26.5%増の221億円となった。カーナビは,国内では市販市場向け製品の売り上げが伸び,海外ではOEMが北米を中心に伸びた。

 ホームエレクトロニクス部門では,売上高が前年度比3.9%増の3686億円,営業損失は前年度の352億円の赤字から赤字幅を減らして162億円の赤字となった。DVDドライブやDJ機器が増収要因になったとする。PDPテレビはOEMの減少により売上高が減少したが,原価率が改善したことで赤字幅の低減要因になったとする。

 このほか,特許関連部門では光ディスクに関連する一部特許の期間満了により,売上高が前年度比45.4%減の47億円,営業利益は45.6%減の39億円となった。「その他」の部門では,FA機器や単純マトリクス型(パッシブ・マトリクス型)有機ELディスプレイが要因となり売上高は同7.8%増の660億円,営業損益は前年度の40億円の赤字から29億円の黒字に転換した。

100人に受けるより,頂点の5人に買ってもらえる製品を


 パイオニアは2007年度の連結業績予想も発表した。通期では売上高が前年度比4.8%増の8350億円,営業利益が同20.1%増の150億円である。

 ホームエレクトロニクス部門の売上高は前年度比3.1%増の3800億円,営業損失は赤字幅を縮小し80億円の赤字になると予想する。増収の柱になると期待するのがPDPテレビである。計画する出荷台数は72万台で,前年度と比べて7万台増に留めている。ただし,「消費者が100人いれば,100人全員にウケる製品ではなく,頂点の5人を対象として商売をしていきたい」(同社 専務取締役の石塚肇氏)と,高精細や大型といったより高価なものへのシフトを図る。こうした製品を扱うことで,同社にとっての製品単価の下落を抑える目論見だ。

 同社が2007年6月に発表する予定の新製品は,「XGAであって,いわゆるフルHDではないにも関わらず,フルHDのPDPテレビや液晶テレビと比べても遜色ないと言われるほど,評価は高い」(石塚氏)と自信を見せる。価格は42型で2700米ドル,50型で3500米ドルと,低価格のPDPテレビに比べて2倍程度になる予定だ。こうした高価格の新製品が同社のPDPテレビの出荷台数の8割を占めると見込む。さらに,2007年9~10月頃には,50型や60型といった大型のフルHD品を投入する予定である。単価の維持のため,生産量の調整を特に徹底する。販売やマーケティング,生産,調達の各部門が連携して1週間ごとの市場の反応を見ながら調整し,在庫の安売りなどは行わない体制を整えるという。

 カーエレクトロニクス部門の売上高は,OEMの売り上げが増加すること,海外市場における市販カーナビの売り上げが増加すること,CDプレーヤーなどの市販カー・オーディオがロシアや中南米向けを中心に増加することを要因として前年度比4.8%増の3750億円になると予想する。営業利益は,OEMの先行開発などの影響で同21億円減の200億円になると見込む。

 パイオニアは,同社の子会社である東北パイオニアの公開買い付けを開始し,完全子会社とすることを14日に発表している。まずはスピーカー事業の統合するなど,事業再編を行う予定。

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