総務省の情報通信審議会 電気通信技術審議会 電波有効利用方策委員会のVHF/UHF帯電波有効利用作業班第8回会合が2007年5月8日に開催された。同委員会では,地上テレビ放送がデジタル放送に完全移行した後に空くVHFやUHFの周波数を,どういう用途で使っていくかなどの検討を進めている。今回UHF帯については,周波数配置案や共用条件の考え方が示されたが(Tech On!関連記事),VHF帯は放送(ケータイ向け地上デジタル放送,デジタル・ラジオ,コミュニティ放送などを含む)のグループと,自営通信(警察,消防・救急,防災・道路・水防などに利用する無線システム)のグループの見解が異なったまま,問題は先送りされた。

 VHF帯についてはこれまでに,(1)放送と自営通信のそれぞれに35MHzずつ割り当てること,(2)VHFローバンド(現行の1,2,3チャンネルの合計18MHz)は放送用途に使うこと,などについてはVHF帯共用検討グループの中で意見の合意を得ている。しかし,VHFハイバンド(現行の4~12チャンネルの52MHz)の割り当ての決着はついていない。放送は17MHz,自営通信は35MHzを利用できるのだが,どちらのグループも高い周波数を利用したいとしているからだ。

 もう一つの対立点が共用条件である。放送用アンテナの中にはkWクラスといった大きな送信出力のものが想定されるため,それによる干渉によって35MHz幅の帯域のうちどれだけが実際に利用できるのか不明だとして,自営通信グループが共用に強い懸念を示している。これに対して,放送グループは,「送信出力に対する制約は極力避けるべきだが,帯域外の不要輻射の抑制については実現可能な範囲で留意する」としているが,自営通信グループが納得しない状況が続いている。

 作業班の親委員会にあたり電波有効利用方策委員会の開催が来週月曜日に控えていることから,今週金曜日にもう一度VHF帯共用検討グループの会合を開いて,この問題を検討することになった。