出光興産は,2006年3月期~2009年3月期の中期経営計画を修正した。原油価格や鋼材価格の高止まり,有機ELパネル市場の立ち上がりの遅れといった事業環境の変化を踏まえて,2009年3月期の売上高は当初計画に対して3000億円上乗せの3兆2800億円,営業利益は310億円引き下げて1090億円とする。同日発表した2007年3月期の決算は,売上高が前年度比2.0%増の3兆3947億円,営業利益が同43.9%増で過去最高の1112億円と好調だったが,2009年3月期は売り上げ,利益ともにこれを下回る見通しだ。

 原油価格の高騰は,製油所操業などにかかる燃料費の拡大や電力小売事業の収益悪化などを招いている。出光興産は2005年1月に,石油系燃料を使った電力を仕入れて販売する電力小売事業に参入したが,原油価格の上昇で競争力を維持できなくなり,2007年4月,同事業から撤退した。

有機EL市場は「予想困難」

 有機ELパネル用材料事業も,需要の立ち上がりが遅れているため,2008年度の営業利益に対し,50億円のマイナス要因となっている。同社は2007年4月に2トン/年の規模で有機ELパネル用材料の量産を始めた(Tech-On!関連記事1)。現在は赤,青,緑の蛍光材料を量産しており,世界需要の5割ほどを1社でカバーしているという。

 有機ELパネルの本格普及は,関係各社の予想よりも遅れており,同事業から撤退するパネル・メーカーや材料メーカーも出てきている(同2同3)。出光興産では,有機ELパネルの世界市場規模が2008年度に1800億円程度に成長すると予想しているが「現時点で本格普及期を占うのは非常に難しい。携帯電話機のメイン画面(同4)での採用拡大や中小型を中心とした有機ELテレビ(同5)の市場形成に期待している」(同社広報)とする。


出光興産の発表資料(2007年5月8日)より