村田製作所は2007年3月期の業績を発表した。2006年度の売上高は5668億円で,前年度比で15.5%の増収。純利益は713億円で前年度比22.0%の増益となった。ただし,四半期ごとでみると,2006年第4四半期の売上高は1438億円で,2006年第3四半期より20億円の微減となっている。

大容量コンデンサが絶好調

 前年度比で760億円の増収分のうち,417億円と半分以上を占めるのがコンデンサ製品である。同製品のカテゴリでは総額2153億円,前年度比24.0%増だが,特に静電容量が1μF以上と大容量のチップ積層セラミック・コンデンサは,40%増と大幅な伸びを示した。「大容量コンデンサは液晶テレビやPDPテレビなどのAV機器や通信機器,パソコンなどすべての用途で伸びている」(同社)。高い需要が続いているために,製品の価格も下げ止まっているという。

 また,寸法が0.6mm×0.3mm(0603)といった小型品も通信機器などでの需要が高く,売上高は前年度比で35%増加した。さらに,寄生インダクタ成分が低い「低ESL(等価直列インダクタンス)品」もデュアルコア型のマイクロプロセサが増えてきたことで需要が大きく伸びたという。

 次に増収率が大きかったのが高周波デバイスの製品カテゴリで,売上高は1141億円,前年度比17.4%の増収となった。売上高の約半分を占めるのがBluetoothモジュールで,前年度比で110億円の増収であるという。Bluetoothモジュールの主な用途は,携帯電話機や車載機器などである。

SAWフィルタのシェアは世界市場の35%に

 このほか,SAW(表面波)フィルタも売上高が前年度比40%と高い伸びを示した。これは,携帯電話機の販売台数の増加に加えて,複数の周波数帯に対応するマルチバンド化が進み,需要が拡大したのが要因。「世界市場でのシェアも35%になった」(同社)という。

 地域別では,日本を除く「アジア・その他」での売上高が前年比23.3%でトップ。用途別では,「家電・その他」が同24.3%で高い伸びを示した。

 2007年度の予想については,売上高を6150億円,2006年度比で8.5%増とした。2006年度で急増したコンデンサ製品の予想は,同10%増と控えめ。「需要というよりは生産能力の問題でこういう数字になったが,工場の稼動日数を増やすなどすればもっと伸ばせるかもしれない」(同社)。

 また2007年度は,ワンセグ,UWB,無線LAN用モジュールにも期待しているといい,「これらが伸びれば業績にはプラスアルファとなる」(同社)という。

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