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 STマイクロエレクトロニクスは,糖尿病の治療に利用する超小型のインシュリン注入ポンプの製品化に向けて,スイスDebiotech社と戦略的協業契約を締結した。両社は,糖尿病患者の皮膚に張り付けるパッチ上に実装可能な,使い捨て型の小型ポンプの市場投入を目指す。小型ポンプの開発では,STマイクロエレクトロニクスのマイクロ流体MEMS技術と,Debiotech社のインシュリン注入技術を組み合わせる。マイクロ流体MEMSは,ごく微量の流体の流れを電気的に管理できる。

 小型ポンプは,患者に連続的にインシュリンを投与する際に用いる。既存のインシュリン用ポンプは,ポケット・ベルほどの大きさがある。これに対して,STマイクロエレクトロニクスらが開発するポンプの体積は,約1/4になるという。患者は,ポンプを固定したり服の中に隠したりする必要がなくなる。

 加えて,開発する小型ポンプは,インシュリンの投薬量をnL(ナノ・リットル)レベルで制御できるという。このため,投薬量を正確に管理できるようになる。

 ポンプのサンプルは既に完成しているという。2008年にはパートナー企業2社によって,一部の市場で製品が提供される予定である。