図1 電子透かしを埋め込んでも映像品質が変わらないことをアピールした
図1 電子透かしを埋め込んでも映像品質が変わらないことをアピールした
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 オランダRoyal Philips Electronics社の事業部門であるPhilips Content Identificationは,電子透かしによる映像コンテンツ保護技術のセットトップ・ボックス(STB)版である「VTrack」を発表し,「NAB2007」に出展した(発表資料)。映像を再生する際に,機器固有のIDやICカード固有のIDなどの情報を,視聴者には見えないように埋め込む。同様の技術は米Verimatrix, Inc.やフランスThomson社(TechOn!の関連記事)などが手がけており,不正なコピーが流通したときにコピー元を特定するのに利用可能であることが不正なコピーの抑止力になるとして注目を集めている。

 同社はこれまで,映画館でのデジタル・シネマ上映時に電子透かしを埋め込むツール「CineFence」や,映像をネットワークで配信する際にストリームごとに電子透かしを埋め込むツール「CompoTrack Baseband」などを提供してきた。今回発表したVTrackは組み込み機器向けに開発したソフトウエアで,復号化した映像ストリームに電子透かしを埋め込んだ上で出力する。不正なコピーの抑止力とするために,STB向けSoCが備えるセキュアな不揮発性メモリや受信制御用カードなどに格納された固有のID,再生した時刻などの情報を埋め込む。

 映像を表示しているディスプレイをビデオ・カメラで録画した場合(いわゆる「アナログ・ホール」の一つ)や,映像の解像度や符号化方式などを変更した場合も電子透かしを検出できるという。