88.5mm×39.5mm×27.5mmのACアダプタ「SED70N2」
88.5mm×39.5mm×27.5mmのACアダプタ「SED70N2」
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 サンケン電気は,主にノート・パソコンに向け,定格出力電力60W(最大70W)で体積が96ccと小さい交流(AC)電源アダプタ「SED70N2」を発表した(発表資料)。交流電源アダプタに求められる過電流/過電圧保護などの各種保護機能を集積した専用のIC「SSC6210」を独自開発したほか,制御回路を全面的に見直したという。これにより,ノート・パソコンの所要電力50~60W前後を満たしながら,ケース・サイズが88.5mm×39.5mm×27.5mmと従来の60W品に比べ約1/2の小型化を実現。また,SSC6210の採用により最大90%の高効率も達成している。

 従来の40W品と比べ同等のケース・サイズで,電力密度は1.6cc/Wと50%向上している。SSC6210を用いたフライバック・コンバータの2次側整流部に同期整流方式を新たに採用し,平均効率は入力115V時89%,入力230V時90%とした。同期整流回路には,比較的電力損失が大きいダイオードの代わりに,より高効率でノイズの少ないパワーMOSFETを使用している。高効率化により,高出力ながらケース表面温度を従来の40W品と同程度に抑制できたことも,小型化につながった。無負荷時の周波数制御もSSC6210で行い,無効電力を抑制している。無負荷時の入力電圧は,従来の40W品の1Wに対し,0.4W以下に低減した。

 制御回路においては,起動回路,過負荷保護回路など,従来の40W品で外付けしていた機能を取り込んでIC化したことで,1次側回路の周辺部品を従来の40W品比57%削減した。2次側回路も,同期整流回路の新採用に加え,全面的な設計見直しを図り,部品点数を従来の40W品比15%削減した。これらに加え,新開発の低ノイズ・トランスとSSC6210の周波数変調機能の組み合わせにより,ノイズ・フィルタの回路面積を2/3に,部品点数を従来の40W品比10%減に簡素化した。全体では部品点数を従来品比30%以上削減している。

 安全規格は,電安,UL,c-ULに準拠しており,欧州安全規格にも対応可能。EMI耐性は,VCCI-Class B,FCC-Class B,CISPR-Class Bの要求を満たす。環境規制では,RoHS指令に適合している。連続入力電圧は交流90~264Vで,世界の商用電源に適用できる。出力電圧は16.0V。出力電流(電力)は3.75A(定格60W)~4.38A(最大70W)。重さは,200g。特定客へのサンプル出荷を経て,今秋にも量産出荷開始の予定。