米国の大手通信事業者であるSprint Nextel社は,同社が「4G Mobile Broadband」と呼ぶモバイルWiMAXの導入計画について詳細を明らかにした(発表資料)。それによれば,基地局などインフラ側のベンダーには,米Motorola,Inc.,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.,フィンランドのNokia Corp.の3社の機器を地域ごとにすみ分ける形で採用した。
端末については,(1)Samsung社のWiMAX単体およびWiMAXとCDMA2000 1xEV-DOのデュアル・モードのPCカード型アダプタ,(2)中国ZTE Corp.のPCカードExpressカード,USB型のアダプタなど,(3)米ZyXEL Communications Inc.の外付け型のモデム,を選んだことを発表した。
「WiMAXを選んだ理由は,データ重視戦略と低コスト」
CTIA Wireless 2007の展示会場では,モバイルWiMAXと同等かそれ以上のデータ伝送速度を備える他の無線通信システムの実演も多い。Sprint社は,そうした選択肢の中からモバイルWiMAXを選んだ理由として「第1に我々のデータ重視戦略に合致していたこと,そして低コストが見込めること」(同社)を挙げた。「他の4G候補のシステムは,データをやりたいのか音声をやりたいのか焦点がはっきりしないものが多い。その点,WiMAXはデータ重視である点がはっきりしていた」(同社)。つまり,目的が明確であることでよけいな機能をそぎ落としたことが低コストにつながる理由の一つだという。
低コストにできるもう一つの根拠としては「多数のベンダーが開発に参加していることで形成されるエコシステムがあること」(同社)を挙げた。「複数のメーカーがそれぞれチップセットを出していれば選ぶほうも選択肢が広がる」(同社)。
米AT&T Inc.や米Verizon Wirelss社が米QUALCOMM社のMobile TVの仕様「MediaFLO」を選んだことについては「我々はユニキャストを用いたビデオ配信型サービスでは,すでに数百万のユーザーがおり,米国内でトップの位置にいる。インフラにはまだ十分な余裕があり,ブロードバンド型やマルチキャスト型のサービスを導入する必要性は低い。ただし,WiMAXはそうしたサービスを実現する一つのオプションになる」(同社)と説明した。