米Intel Corp.は2007年3月22日,恒例となっているイベント「Intel Research Lab in Berkeley annual Open House」を開催した。同社が米University of California,Berkeley校(UC Berkeley)との共同研究の一端を公開するもので,共同研究の拠点「Intel Research Lab」を開設した2001年から毎年の恒例行事になっているという。
研究の内容は,例えば,センサ・ネットワーク,メッシュ・ネットワーク,IPルータや無線機器の省電力化技術,モバイル端末向けのアプリケーション,スマート・アンテナ技術,アフリカのガーナに試験導入している遠隔医療(Telemedicine)用無線システム,などである。
企業と大学との共同研究はとかくIP(知的所有権)が問題になりがちである。この点に対する本誌の質問に対して,Intel社 Corporate Technology Group Director of Research,Vice PresidentのAndrew A. Chien氏は「この共同研究の目的は,広くコンピュータ技術の発展を促すことにある。Intel社がIPからライセンス料などの利益を得ることは考えていない。大学側とは,どんな成果もオープンに公開するという約束の下に研究を進めている」と説明した。
Intel Research Berkeley Lab Director兼,UC Berkeley校 Professor of Computer ScienceのEric Brewer氏は,「Intel社としてのメリットの一つは,例えば,新しいネットワーク技術を開発するためのテストベッドがいつでも利用可能である点。研究テーマはIntel社が決めるのではなく,研究者間の議論や提案からボトムアップ的に決まる。研究成果は,5~10年先に出ればいい」と答えた。
学生の青田買いが目的か,というほかの記者からの質問には「学生はIntel社に就職するものもいるが,就職先に縛りを設けたりはしていない。実際,Intel社以外の研究所や大学に残るケースも多い。一方,我々の人員募集は,UC Berkeleyだけでなく,世界中の大学を視野に進めている」(Chien氏)と否定した。
Intel社は2006年に大量の人員削減など大規模なリストラを実施した。こうしたリストラの影響については「他の大学との共同研究については内容を見直したものがあるが,UC Berkeleyでの共同研究は何も変わっていない」(Chien氏)という。
今回公開した共同研究内容のいくつかは続報でお伝えする。