日本AMDが2007年3月14日にTorrenzaイニシアティブに関する報道関係者向けのセミナーを開催し,最新の状況を報告した。TorrenzaはHyperTransportを初めとする,ソケット接続や拡張バス接続によって,マイクロプロセサを補佐する形で動作する各種アクセラレータを接続する技術の開発コード名。「単独のマイクロプロセサの性能は頭打ちになる。これからは複数コア,そして複数プロセサが共同して働かないと性能が出ない」(米Advanced Micro Devices, Inc.Director,Commercial Platform SolutionsのDavid Rich氏)。そのため,AMD社はTorrenza技術を開発してその情報を公開,アクセラレータを開発する企業を募ってTorrenzaイニシアティブを形成している。

 現在のところ,Torrenzaとして定めているのは同社のマイクロプロセサ「Opteron」用のソケットの仕様,チップセット用ソケットの仕様に加え,「HTX」と呼ぶ拡張スロットの仕様。HTXはAMD社のチップ間接続技術HyperTransportに直接接続できる拡張スロット。HyperTransport経由でアクセラレータを接続するのに,チップの形状にしなくて済む分自由度は向上する。HTXを利用した企業として,米Tarari社(XML処理プロセサ),米QLogic社(Infiniband通信カード),米Woven Systems社(10GビットEthernetカード)などを紹介した。

 こうしたTorrenzaイニシアティブの参加企業の一つとして,英Celoxica社がFPGAによるアクセラレータを実演。プログラムの処理の一部をFPGAによってハードウエア化することで,計算処理を高速化してみせた。例えば欧州の投資ファンド向けに開発したオプションの計算処理では,マイクロプロセサによる処理の24倍,米国の石油探査会社向けのシミュレーション計算では26倍の高速化を果たしたという。「ASICなどにすると,応用が利かないためコストが高くなる。FPGAであればさまざまな用途に使えるため,アクセラレータとして汎用的に使える」(日本セロックシカ営業推進部部長の中村高廣氏)。