米QUALCOMM Inc.は,世界各地の携帯機器向けテレビ放送を受信できる専用LSIの出荷を,当初の計画より前倒して進める方針を明らかにした(発表資料)。3GSM World Congress 2007の開催に合わせて発表した。

ワンセグ/DVB-H/MediaFLOに対応

 この発表は,日本でサービスが実施されている「ワンセグ(ISDB-Tの1セグメント放送)」や,欧州向けの「DVB-H」,そしてQUALCOMM社が推進する移動体向け動画配信技術「FLO」の3種類すべてを受信できるチップ「UBM(universal broadcast modem)」に関するもの。QUALCOMM社は当初目標より若干早くサンプル出荷を開始する意向。早ければ年内にも,同チップを搭載した端末が登場する可能性も出てきた。QUALCOMM社は,携帯機器向けテレビ放送(モバイルTV)対応機器の台数が,今後指数関数的な勢いで増加するとみており,世界の需要増に対応するため出荷時期を早めるとしている。

 QUALCOMM社はこのほか,同社が推進する移動体向け動画配信サービス「MediaFLO」に関して,米AT&T(Cingular)社が米国でサービスを実施する方針であることを発表した(発表資料)。MediaFLOのサービス開始を既にアナウンスしている米Verison Wireless社とあわせ,米国の主要携帯電話事業者が,MediaFLOに賛同を示した格好だ(Tech-On!の関連記事)。「米国でMediaFLOに対応する予定の携帯電話事業者の加入者数をあわせると,すでに1億ユーザーを超えたことになる」(QUALCOMM社)。なおQUALCOMM社は3GSM World Congress 2007において,スペインAbertis Telecom社と共同でMediaFLOによるストリーミング動画伝送を実演していた。