4組(RX0〜RX3,TX0〜TX3)のトランシーバを集積したチップ。中央にLC-PLLがあり,チップの左右にもインダクタがあるのが特徴。
4組(RX0〜RX3,TX0〜TX3)のトランシーバを集積したチップ。中央にLC-PLLがあり,チップの左右にもインダクタがあるのが特徴。
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従来技術との消費電力の比較
従来技術との消費電力の比較
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6.25Gビット/秒×4組の伝送デモ。左下にあるのが電源の単3乾電池2個。
6.25Gビット/秒×4組の伝送デモ。左下にあるのが電源の単3乾電池2個。
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 米Rambus Inc.は,ISSCC 2007で6.25Gビット/秒と高速伝送であるにもかかわらず消費電力が標準13.8mWと非常に小さいチップ間伝送向けのトランシーバLSIについて講演した(講演番号24.3)。伝送帯域1Gビット/秒当たりの消費電力は2.2mWと,従来の一般的なトランシーバの約1/10という。同社は発表会場とは別の会場で,乾電池2個でこのトランシーバLSI4個を動作させるデモも披露した。

 Rambus社のトランシーバLSIは,4組のトランシーバ回路を1チップ上に集積したもの。LC共振器付きPLL(LC-PLL)1個が,これら4組のトランシーバにクロック信号を提供する。各トランシーバ回路のチップ上の寸法は,0.64mm×0.48mm。チップは90nmルールのCMOS技術で製造し,各送信回路が動作時に4.9mW,各受信回路が動作時に8.0mW,LC-PLLとクロック分配用配線の組が各トランシーバ当たり0.9mWの電力を消費する。

 低消費電力を実現できたのはいくつもの要素技術の工夫によるという。具体的には(1)複数のトラシーバ回路でLC-PLLを共有させた,(2)LC-PLL中のインダクタとクロック分配用の配線の寄生容量とを3.125GHz付近で共鳴させ,クロック分配のエネルギー効率を上げると同時に配線を300Ωと高インピーダンスにして信号電圧の変化幅を小さくすることで,インバータを用いるクロック・バッファの負担を小さくした,(3)適応的な等化回路を用いた,ことなどである。

 これらのうち特に(2)について同社は「インダクタなしではクロック・バッファの消費電力は今回の3倍から5倍になってしまう」(同社)という。今回のクロック・バッファの消費電力は1.8mW超であるため,トランシーバ回路1組当たりで1m~1.8mWの省電力化になったと計算できる。

 同社は発表会場とは別の部屋で公開したデモで,6.25Gビット/秒の伝送路を送受信で4組用意し,それらを単3乾電池2個で駆動してみせた。「計25Gビット/秒分の伝送を40時間以上も続けられる。これは3.6Pビット,つまりDVD10万枚分の情報量になる」(同社)。