米Intel Corp.と米Novell, Inc.は2007年2月12日,オープンソースのコンピュータ仮想化ソフト「Xen」で,Windowsを稼働させるためのデバイス・ドライバを開発した。これによって,SUSE Linux上でWindowsを稼働させることが可能になる。

 当面,Novell社が実施するパイロット・プログラムのユーザー向けに提供する。一般向けの公開は今年後半の予定。仮想化技術は,サーバーの集約などIT関連の技術だと考えられがちだが,OSの導入や開発したソフト資産の保護などにも向く技術である。今後のネットワーク家電などでも必要となる可能性は高い。

 今回Intel社とNovell社が共同で開発したのは,周辺機器の仮想化を果たすためのドライバ。具体的にはネットワーク・ドライバとファイル・システムなどのブロック・デバイス用のドライバを開発した。

 コンピュータ仮想化では,大きく二つの課題がある。一つはOS自体がマイクロプロセサの特権レベルで動作することを前提としているのに対し,仮想環境ではアプリケーションと同じレベルで実行されること。もう一つが,周辺機器アクセスを仮想環境側で代行し,適切なアクセスに変換しなければならないこと。今回Intel社とNovell社が開発したのは,後者の部分。

 前者に関して米VMware, Inc.の仮想化ソフト「VMware」や,米Microsoftの「Virtual Server」などでは,特権命令をエミュレートする「バイナリ・トランスレーション方式」を採用してきた。Xenでは命令のエミュレートをせず,そのまま実行させる「パラバーチャライゼーション方式」を採用している。特権命令の問題は,ゲストOSのコードを改変することによって対処してきた。このため,Windowsなどソース・コードが公開されていない商用OSの稼働は困難だった。XenではIntel社の「Virtualization Technology」を使うことにより,特権命令の変換は不要になる。