記者会見の様子
記者会見の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 ソニー・グループの2006年度第3四半期(10月~12月)の連結決算では,売上高が対前年度同期比で9.8%増加した。営業利益は1789億円を確保し,対前年度同期比では14.9%減少したものの,208億円の営業損失に追い込まれた2006年度第2四半期(7月~9月)に比べると業績の回復基調が鮮明になった。

 業績の回復を牽引したのはエレクトロニクス部門である。同事業の営業利益は1774億円と,875億円だった前年同期に比べて899億円増えた。エレクトロニクス部門の売上高は対前年同期比で16.9%増えた。四半期ベースでは過去最高の売上高と営業利益を確保した。デジタル・カメラ,ビデオ・カメラ,液晶テレビ,システムLSI,イメージ・センサなどの事業が好調だった。「デジタル・カメラでは各地域でヒット製品を生み出せた上,コストダウンも積極的に進めたことが功を奏した。ビデオ・カメラ事業は売上数量こそ前年同期よりも少なかったものの,HDTV対応品などを投入したことで平均単価を前年同期とほぼ同水準に保つことができた。液晶テレビの『BRAVIA』は全地域で増益だったことなどで,当四半期のテレビ事業は営業黒字となった。システムLSIは『プレイステーション3(PS3)』向けに本格的に出荷を始めたことで増益となった」(ソニー)ことなどが理由である。一方,エレクトロニクス部門で減益要因となったのが,液晶リアプロ・テレビである。同リアプロでは競争が激化した結果,単価下落と販売数量の減少に見舞われた。

 映画部門でも損益が大きく改善した。前年同期の4億円の損失に対し,262億円の営業利益を計上した。「ダ・ヴィンチ・コード」,「Talladega Nights」,「もしも昨日が選べたら」などのDVD映画ソフトや劇場興行収入の売り上げが大変好調だったことによる。

 金融部門の営業利益も,対前年同期比では46%減少したものの,255億円を確保した。ソニー生命が減益だったものの,ソニー損保やソニー銀行の事業は順調に推移した。

 営業損益面でグループの足を引っ張ったのはゲーム部門である。2006年度第3四半期には542億円の営業損失となり,678億円の営業利益を稼いだ前年同期から大きく収益を悪化させた。営業損失の原因は,主にPS3の戦略的な価格設定による販売損失に加え,PS3プラットフォームの立ち上げ関連費用を計上したことなどによるという。「プレイステーション2」や「PSP」事業についても,減益となった。ゲーム部門の2006年度第3四半期の売上高は対前年同期比で5.6%増となった。ゲーム部門の売上高が増えたのは,主にPS3の発売による。

 このほか,携帯電話機事業を手掛けるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは,前四半期に続き,売上高と税引前利益で過去最高を達成した。四半期の売上高では,全世界の携帯電話機市場で第3位の市場シェアを獲得したとしている。

■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。