TIのデジタル・テレビ用映像処理LSI「TVP9010」
TIのデジタル・テレビ用映像処理LSI「TVP9010」
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 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は,デジタル・テレビ向けに,映像処理プロセサ「TVP9010」の記者向け説明会を開催した(発表資料1,日本語1)。米Texas Instruments Inc.(TI社)が2007年1月8日に発表したもので,1チップでNTSC/PALのビデオ・デコーダ,IP変換などの画像処理,周辺回路制御を行い,テレビ・メーカー任意の“画作り”や2画面表示(ピクチャinピクチャ)などの機能を実現するSoC。1080pまでのHDTV出力に対応する。

 TVP9010は,「TVP9000」を第1世代とするデジタル・テレビ向けプロセサ群の第2世代と位置づけている。2年前の秋に特定の顧客向けに提供したTVP9000では,デジタル映像処理に重きを置いていた。TVP9010ではTVP9000をベースに,3次元Y/C(コンポジット信号)分離に対応するなど,アナログのテレビ信号の処理を強化した。主な高画質化機能として,動画上のジャギ低減,青なら青だけを強めるなどして肌色への影響を極力抑えた色やコントラストの調整などを挙げた。
 現行のプロジェクション・テレビや薄型テレビから,今後期待される“ネットワーク・テレビ”をターゲットにする。特に,家庭内LANやインターネット,携帯電話機やパソコンなどとつながるネットワーク・テレビでは,デジタル映像の入出力に伴う信号処理,符号化/復号化,スケーリングなどの機能を提供する「DaVinci」との併用を薦めている。
 映像出力としてATSC-NTSCコンバータ・ボックスやローエンドなテレビに向けては,8-VSB/QAM復調器を内蔵した「TVP9007」をラインナップした。映像出力としてNTSCに絞っている。10ビットのA-D変換器を内蔵しており,チューナーが出力するIF信号を直接入力できる。

 また,デジタル・テレビ向け音声処理プロセサ「TAS3208」も発売している(発表資料2,日本語2)。デジタルとアナログの両方の音源を処理し,薄型テレビに組み込まれたスピーカーでも高音質で再生できるように設計したSoCである。音声信号専用のDSPコアとA-D/D-A変換器および制御・通信インタフェースを受け持つマイコンを1チップに収め,複数のデジタル入出力チャネル,音声出力の遅延用メモリを装備した。音声処理用としては高精度という48ビットのDSPコアは,135MHz,675MIPSの処理能力を持つ。アルゴリズムには,Dolby,SRSのほか,独自の低音域拡張技術「バーチャル・サラウンド・テクノロジー」を用意している。
 最大5.1チャネルを出力できる。アナログのチャネルは,入力がステレオ×10系統,出力がステレオ×3系統。入力側にはダイナミック・レンジ93dB以上のA-D変換器を1個,出力側にはダイナミック・レンジ97dB以上のD-A変換器を系統ごとに1個,計3個備える。
 このLSIを,携帯型音楽プレーヤのドックやホーム・シアタ向けにした「TAS3204」も提供している。アナログ入出力は,入力がステレオ×3系統,出力はステレオ×2系統。A-D変換器のダイナミック・レンジは102dB,D-A変換器のダイナミック・レンジは105dB。

 TPV9010/9007はサンプル供給中。TAS3208/3204は量産出荷中。