米Ford Motor Co.の2006年10月~12月期決算は巨額の赤字となった(発表資料)。売上高は前年同期比13%減の403億米ドル,純損失は58億米ドルだった。前年同期の7400万米ドルから赤字幅が大きくふくらんだのは,北米市場における不振のためだ。販売不振とそれを受けてのリストラに関する費用が全社の収益を圧迫している。

 北米自動車市場における売上高は前年同期から3割減の151億米ドル,税引前損失は27億4600万米ドルだった。シェアは,2006年上期の16.9%に対し,10月~12月期は14.8%まで縮小した。販売台数の減少,市場シェアの縮小,低価格帯の車種の売上比率増,インセンティブ(販売奨励金)拡大と厳しい状況が続いている。

 欧州市場においては10%を超える増収増益だったが,事業規模が北米市場の1/8程度と小さいため,全社の業績を牽引するには至らない。また,高級車部門のPremier Automotive Group(PAG)も,Volvoの新型車が投入されたことやJaguar,Land Roverの販売価格が想定を上回ったことなどで増収増益となった。ただし,これも事業規模は欧州向けと同等で,北米の不振に相殺されている。

自動車部門の赤字は拡大へ

 同社は2007年の自動車の世界市場規模について,北米が1680万台,欧州が1760万台と予測した。Ford社としては,北米では引き続きシェアを落とし,その他の地域では拡大する見通し。2007年通期の損益は,北米とアジア太平洋/アフリカ地域で赤字,南米や欧州,PAG,マツダの事業では黒字を見込む。自動車部門全体としては赤字で,2006年より悪くなる見通しだ。なお,2007年1月~3月期の生産計画は,北米向けで74万台,欧州向けで52万台,PAGで21万台としている。

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