DRAM専業のエルピーダメモリが上昇気流に乗り始めた。2006年度第3四半期(10月~12月期)は,売上高,営業利益とも過去最高を記録した(決算資料のpdfファイル)。売上高,営業利益そろっての記録更新は3四半期連続となる。パソコン(PC)やサーバー向けのDRAM需要が旺盛で,価格が高値で安定したことが追い風となった。

2007年末に17万枚/月規模へ

 こうした状況を受けてエルピーダは,300mmラインでの生産能力を前倒しで拡大する(Tech-On!関連記事1)。まず,2007年度に予定していた広島エルピーダメモリの300mm棟「エリア3」の検収を2006年度中に済ませ,2007年度第1四半期から装置搬入を始める。そして,「エリア1」,「エリア2」と合わせた生産能力を,2007年7~9月期中に当初の計画より月産で3000枚多い8万8000枚/月まで拡大する。このうち,2006年12月に量産を開始した70nm世代品の生産能力は,2007年7~9月期で2万枚/月を計画する(Tech-On!関連記事2)。70nm品の量産は「きわめて順調に立ち上がっている」(エルピーダメモリ 代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏)という。

 これに加えて,台湾Powerchip Semiconductor Corp.(PSC)との合弁によるRexchip Electronics Corp.での生産を2007年7~9月期に開始する(Tech-On!関連記事3)。この結果,2007年12月時点での300mmウエーハ換算の生産能力は,PSCや中国Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)からの調達分も含めて「17万枚/月規模に達する」(エルピーダの坂本幸雄氏)。

3Qは高値を維持したPC向けが好調

 2006年度第3四半期の同社の業績は,売上高が1426億900万円と対前年同期比2.42倍となり,営業利益が前年の6億4500万円から272億6800万円に跳ね上がった。対前四半期比では,売上高が28.3%増,営業利益が59.6%増となった。営業利益率は19.1%と対前四半期比3.7ポイント上昇した。DRAMのビット換算の販売数量は,対前年比で2.94倍,対前期比25%増である。

 好調の要因は,PCとサーバー向けのDDR2規格DRAMの価格が高値で推移したことである。512Mビット品のスポット市場価格が6米ドル以上の水準を維持したことなどから,平均販売単価(ASP)は対前期比で3%上昇した。この状況に対応して,同社は第3四半期に拡大した自社工場の生産能力の大半をPCおよびサーバー向けに充て,生産委託先のPSCでの生産量も大幅に拡大した。

 売上高を製品別で見ると,PC向けが対前期比54%増の746億円,サーバー向けが同26%増の189億円,デジタル家電・モバイル機器向けが同4%増の458億円となった。需要が旺盛だったPC向けと,調整局面だったデジタル家電・モバイル機器向けで増加幅に大きく差がついた。全売上高に占める比率は,PC向けが52%と対前期比9ポイント増,サーバー向けが13%と同1ポイント減,デジタル家電・モバイル機器向けは32%と同8ポイント減となった。

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