ウィルコムのPHS高度化の手順
ウィルコムのPHS高度化の手順
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 ウィルコムとウィルコム沖縄は,2007年春にPHSの高度化サービス「W-OAM typeG」を開始すると発表した。同サービスに対応した端末を用いれば,最大データ伝送速度は8リンクを束ねる「8xパケット方式」の場合に512kビット/秒と,従来の最大408kビット/秒から高速化する。

 さらに同社は2007年春以降,基地局を接続するネットワークを,現行のISDNから光ファイバを用いたIP(internet protocol)ネットワークに変更する工事も順次進める計画である。工事を済ませた基地局では,最大約800kビット/秒のデータ伝送速度を実現できる。

移動体通信サービスでは国内初の「64値QAM」採用に

 今回の基地局の高速化は,利用する変調方式に16値QAM(直交振幅変調),32値QAM,64値QAMを追加することで実現する。従来は,8相PSK,QPSK,BPSKの3種類を電波の状態に応じて適応的に使い分けていた。今回の変調方式の追加で,基地局に近い,または障害物が少ないなどの電波環境の良い場合には,最大伝送速度の向上が期待できるようになる。

 64値QAMは,振幅の違いを8段階に区別し,さらに位相の違いによる波形パターンを8種類用意して,8×8=64値(6ビット)の多値変調を実現する技術。これまでは,コードレス電話や無線LAN(IEEE802.11a/g)で用いられていた。

 移動体通信サービスでも,EV-DO revision B仕様の携帯電話サービスやモバイルWiMAXなど各種の仕様で64値QAMの導入が決まっている。実サービスでは,韓国のWiBro,スロバキアでT-mobile社が採用しているFLASH-OFDMなどでの利用例があるが,日本国内の移動体通信サービスで64値QAMが実用化されるのは,これが初めてである。