米iSuppli Corp. によれば,電子機器産業は,高速のネットワークを利用するアプリケーションとコンテンツに向いており,電子技術の市場はデジタル・メディアの普及によって成長しているという(発表資料)。同社は,デジタル・メディア機器の普及に関して以下のように予測する。

・MP3などの携帯型メディア・プレーヤーの2006年の出荷数は成長率30%以上の1億6000万台を超える。
・2006年の音楽再生機能付き携帯電話機の出荷台数は3億台を超え,携帯電話機で利用する音楽の市場は,2010年までに150億米ドルまで成長する。
・放送番組などの映像コンテンツをIPネットワークで配信するIPTVの加入者数は,2010年には6500万以上に達し,IPTV市場は2009年までに約180億米ドルに達する。IPTV向けの半導体の売上高は、2009年までに78億米ドルに増加する。
・モバイル・ビデオは今後2年間で広く普及し,2010年までに加入者が1億以上に増加する。また,2010年までにモバイル・テレビ向けのチップを含んだ携帯電話機が3億台以上出荷される。
・さまざまな家電がインターネットに接続可能になり,2010年には,インターネットに対応するテレビ・ゲーム機やセットトップ・ボックス,DVDプレーヤー,テレビなどの家電は1億8000万台以上出荷される。
・有料のデジタル・テレビの加入者数は,携帯端末で視聴するテレビを除いて,2010年までに約2億7600万人に達する。

 しかし,デジタル・メディア機器の需要が拡大する一方で,デジタル・コンテンツの著作権管理(DRM)に関わる問題が大きな障壁になっているという。 デジタル・コンテンツの著作権管理は,メディア企業,通信事業者,ポータル・サイト,機器メーカー,半導体メーカーといったさまざまな企業の利害に関わる。

 2006年には,DRMで保護された機器が約5億台出荷され,DRM市場は成長している。しかし,関連企業間の矛盾する利益は似たようなライセンスや登録商標を激増させているという。このようなデジタル・コンテンツの著作権管理は,プラットホーム間でのコンテンツの動きを制限する。結果として,消費者はDRMで保護されたデジタル・コンテンツを避け,代わりに無料のコンテンツを配信するピア・ツー・ピアのサイトを利用するようになっていると同社は指摘する。このデジタル・コンテンツの著作権管理問題は,今後数年間のデジタル・コンテンツ市場の成長を鈍らせるという。