ロケフリ機能を内蔵したSTBの登場も近い
ロケフリ機能を内蔵したSTBの登場も近い
[画像のクリックで拡大表示]
左が前田悟氏
左が前田悟氏
[画像のクリックで拡大表示]

 無線LANでインターネットに接続できれば,世界のどこにいても自宅のテレビと同じ番組が見れるということで,ソニーの無線LAN・映像視聴システムの「ロケーション・フリー(ロケフリ)」がアメリカ市場で大いに受けている。

 そのロケフリが今後,さらに急速なペースで普及しそうな状況になってきた。米国の大手セットトップ・ボックス(STB)メーカーとの提携によって,ベース・ステーション(送信)機能を内蔵したSTBが登場する運びになったのだ。現在,交渉は最終段階に入っているという。

 米国の地上テレビ放送は,大部分がケーブルテレビ局経由で視聴されている。衛星放送も普及が進んでいる。これらは,すべてそれぞれ専用のSTBを経由してテレビ受像機に画像を映している。最近はハード・ディスク装置(HDD)を内蔵して録画機能を備えたものも増えている。

 米国には2社,STBの大手メーカーがある。今回進んでいる提携交渉では,そのうちの1社の製品に同機能が入る運びだ。同時に,大手のケーブルテレビ・オペレーターとの交渉もまとまりつつあるという。それにより同機能内蔵のSTBの台数は,約2000万台に拡大すると見積もられるという。つまり一挙に,最大2000万のベース・ステーションが全米に普及する計算になる。すると,ロケフリの世界は今後さらに面白くなる。既にパソコン用の受信ソフトや携帯型ゲーム機器の「PSP」,携帯電話機……と,ユーザーが出先で映像を受けるクライアント機器も激増している。

 ロケーション・フリーの次の挑戦は,HDTV信号の送受信だ。アメリカでは2009年,日本は2011年に地上アナログ・テレビ放送を停波してしまうわけで,基本的にはすべてがHDTV画質を前提としたデジタル放送になる。となれば,HDTV対応は必須である。

 技術的には,H.264(MPEG-4 AVC)を使えば比較的少ない符号化データ速度できれいなハイビジョン画像のIP(internet protocol)伝送が可能だ。これについても実用化が積極的に検討されているはずである。ロケフリの生みの親であるソニーの前田悟氏は,筆者の問いににやにやしているだけだが。

 出張先で,自宅のテレビと同じハイビジョン映像を見られる日は,近い。