プレス向け説明会でのデモ。ソニー製のDLNA対応パソコン(左上)とSamsung社製のHANA用モデムとを,CWave対応ブリッジ機器に接続している。
プレス向け説明会でのデモ。ソニー製のDLNA対応パソコン(左上)とSamsung社製のHANA用モデムとを,CWave対応ブリッジ機器に接続している。
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ブリッジ機器間の伝送には,同軸ケーブルを利用
ブリッジ機器間の伝送には,同軸ケーブルを利用
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CWave対応のチップセットのレファレンス・デザイン
CWave対応のチップセットのレファレンス・デザイン
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 米Pulse~LINK,Inc.は,UWBの信号を同軸ケーブルを用いて伝送する技術「CWave」を2007 International CESで実演する。加えて,この技術を用いて,韓国Samsung Electronics,Co.,Ltd.が主導するIEEE1394ベースのホーム・ネットワーク策定団体「High Definition Audio-Video Network Alliance(HANA)」と,米Intel Corp.やソニーなどが推進するEthernetベースのホーム・ネットワーク策定団体「Digital Living Network Alliance(DLNA)」のそれぞれの仕様に基づくネットワークを,1本の同軸ケーブル上に共存させるデモンストレーションも公開する。

 CWaveは,Pulse~LINK社がこれまで開発してきたDS-UWBベースの信号を同軸ケーブルでも伝送できるようにした技術。無線と同軸ケーブルでのUWB通信が同じチップセットでできるのが特徴である。同軸ケーブルを用いた場合の伝送距離は200フィート(約70m)以上とUWB無線よりも大幅に長くなる。

部屋間接続で1.35Gビット/秒を実現

 Pulse~LINK社はこのCWaveを,HANAとDLNAの共存を可能にする技術として位置づける。具体的には,Ethernet,IEEE1394,同軸ケーブルのポートを持つブリッジ機器に,各部屋にあるHANA対応のデジタル家電とDLNA対応のデジタル家電をそれぞれIEEE1394やEthernetを介して接続する。そして部屋間は同軸ケーブルで接続し,CWave技術を利用してデータを伝送する。

 今回,CESに先立つ展示内容の報道陣向け説明会「CES Unveiled」でも,ソニーのDLNA対応パソコンとSamsung社のHANA対応モデムなどをブリッジに接続して,HDTV信号などを伝送するデモンストレーションを披露した。

 同軸ケーブルをLANケーブルとして高速のデータ伝送を実現する技術はいくつかある。ただし,利用できる搬送波に電波法などの規制がかかりむやみに周波数帯域を広げることができないことなどから,従来のデータ伝送速度は250Mビット/秒が最大だった(関連記事)。Pulse~LINK社は,CWaveを用いると同軸ケーブルでも1.35Gビット/秒を実現できるという。

EthernetとIEEE1394の信号を同時に伝送可能

 CWaveの技術の詳細について現時点ではPulse~LINK社は明らかにしていないが,伝送品質の確保技術としてIEEE1394の伝送モードである「isochronous伝送」などをサポートしており,UWBを意識せずに同軸ケーブルでのGビットEthernetやIEEE1394として利用できるという。「EthernetとIEEE1394の信号を同時に同軸ケーブルに伝送することもできる」(同社)。

 一方で,DLNAやHANAというホーム・ネットワークの仕様に関しては「CWaveは低いレイヤーでの接続性だけを保証する。DLNAやHANAなどの上位層には関与しない」(同社)という。

 Pulse~LINK社は,CWave対応のチップセットおよびメディア変換用のブリッジを2007年の第1四半期に家電メーカーに出荷する計画である。