米国の研究財団であるWashington Research Foundation(WRF)は,同所で管理している特許を侵害しているとして,松下電器産業,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.,フィンランドNokia Corp.とそれぞれの米子会社を,米ワシントン州西部連邦地方裁判所に提訴した(訴状のPDFファイル)。

 WRFの訴えによると,同所で管理するRF回路に関連する特許を,ライセンス契約なしでBluetooth用ICに利用している半導体メーカーがあり,松下など3社はそのメーカーのICを使って携帯電話機などを製造/販売していることから,特許侵害で訴えたとする。訴状には,WRFの特許を利用してBluetooth用ICを製造しているメーカーとして英CSR plc.が上げられている。今回訴えられた松下電器など3社は,CSR社のICを使って携帯電話機などを製造/販売していることから,標的となったとみられる。なおWRFによれば,米Broadcom Corp.に関連する特許をライセンス供与しており,Broadcom社のBluetooth用ICを使った場合には問題は無いとしている。

 訴状で記されている関連特許は,米国特許番号「5,937,341」,「6,427,068」,「6,631,256」,「7,116,963」。例えば5,937,341は,名称が「Simplified High Frequency Tuner And Tuning Method」であり,受信回路アーキテクチャに関する特許である。

 CSR社のBluetooth用ICは多数のメーカーに利用されているが,その中でも出荷数の多い3社を狙って提訴したようだ。今後訴訟の対象が,3社以外に拡大するかどうかは明らかになっていない。またCSR社のBluetooth用ICを利用する送受信モジュールのメーカーにまで波及するかなども不明である。

 Bluetoothの標準化団体である米Bluetooth SIG,Inc.のExecutive DirectorであるMichael Foley氏は,同氏のブログにおいて今回の件についてコメントし,「Bluetoothのスペックそのものは,WRFが訴えている対象には含まれないと考えている」( Michael Foley氏のコメント)とした。適切な時期に改めて,公式コメントを明らかにする予定という。今回の件についてCSR社は,ノーコメントとしている。