米国時間2006年11月15日，米Stanford Universityで開催されたイベント「TechNet Innovation Summit」に，Microsoft社 ChairmanのBill Gates氏が登場した。同氏はジャーナリストのCharlie Rose氏との対談の中で，近年注目を集める同社の競争相手についてコメントした。
――では，最初は”Google”から。Google社とMicrosoft社との競争について，どう理解している？
Gates氏 この競争は，両社にとってとても面白いものになってるよ。例えば，Google社がGoogle Earthを開発したと思えば，我々が3次元表示のVirtual Earth 3Dを開発した，とかね。ユーザーはこれらのアプリケーションを無料で使える。これはFantasticな成果だ。ユーザーにとって多大な利益をもたらしたし，我々もいい仕事ができた。
――"オープンソース"。Microsoft社は今後，オープンソースに対してよりオープンになるのだろうか？
Gates氏 LinuxなどのUNIX系OSは，顧客にとってもポピュラーな存在になっている。だから我々は，Windows OSとLinuxを1つのサーバで動かせるソリューションを提供することにした。（Microsoft社との提携を発表した）米Novell社は，このソリューションに必要な仮想化技術に優れている（Tech-On!関連記事）。Windowsは仮想化サーバの市場で，大きなシェアを獲得できるだろう。
――"Apple"。iPodで大成功を遂げた。
Gates氏 iPod現象は，僕にとってUnbelievable！Fantastic！だよ。彼らはいい仕事をしている。今，市場で起こっているのは，異なるものをうまくつなぎあわせることだ。Apple社が素晴らしかったのは，パソコンとiPodを誰もが簡単につなげられるようにしたことだ。
――では，Zune（Microsoft社の携帯型マルチメディア・プレーヤー）はどうだろう。Zuneの目標は，iPodを超えた成功を収めることなのか？
Gates氏 最初の目標は，もうちょっと控えめなものになるだろうが・・・確かなのは，我々は本当に必要となる機能をZuneに搭載したということだ。ZuneにはWiFiを搭載した。iPodには入っていないものだ。友人にプレイリスト，写真，試聴用の音楽を送ることができる。
このような「コネクティング・エンターテインメント」は，Xboxのコンセプトと共通している。Xboxが登場する前，ビデオ・ゲームは一人で楽しむものだった。我々はXbox Live（Xboxのオンライン・サービス）を提供することで，オンライン上のユーザーを接続してみせた。これは，「ゲーム」というエンターテインメントをまったく違うものに変えてしまった。
――では，そのXboxについて。競合するのは"PlayStation 3"だね。
Gates氏 つい先日，ソニーが日本でPS3を発売したね。今まで8万台が売れたとか・・・たった8万台だけどね。前世代機の競争では，XboxはPS2と比べて後発となり，かつ機能を高めたため高価になってしまった。それがXbox360とPS3の対決では，ソニーと我々の立場は完全に逆になっている。
――最後に，"YouTube"。この新しいバブルをどう思うか？
Gates氏 この現象は，1999年～2000年のようなバブルではない。あるサイトのトラフィックの多さが，イコール利益になり得ることが再確認されたということだ。今後，映像はインターネットのトラフィックの多くを占めるようになるだろうし，音楽と同じようにほとんどの映像がインターネット上で提供されるようになるだろう。
（会場からの質問）Microsoft社のビジョンについて知りたい。OSからゲーム，音楽，検索まで，あらゆる事を手掛けている。すべてでNo.1になりたいのか？
Gates氏 いや，我々は本来，No.1になるのは好きじゃないんだが・・・(会場爆笑）。我々の強みは，最も優秀なソフトウエア技術者を抱えていること。ハードウエアも手掛けてはいるが，コア技術はソフトウエアだ。現在では，携帯電話機から自動車，テレビ，そしてパソコン・・・様々なものにソフトウエアが使われていて，これらの技術には強いシナジーが働いている。我々はこれらの分野にソフトウエアで貢献したい。
