代表取締役社長 兼 会長の小野寺正氏
 KDDIは,デジタル・ラジオの受信機能を備えたau携帯電話機「W44S」を2006年12月上旬に発売する(発表資料Tech-On!関連記事)。代表取締役社長の小野寺正氏は,初のデジタル・ラジオ対応端末の投入に寄せて「当社は音楽サービスで業界をリードしてきた。同業他社の端末も当然,デジタル・ラジオ機能を搭載してくるだろうが,それはデジタル・ラジオの普及のためには歓迎すべきこと。当社としては今後も先行して次の手を打っていくだけ」と述べた。

 デジタル・ラジオ放送は現在,実用化試験放送が行われている段階だが,2006年12月1日にエフエム東京が一般視聴者に向けた放送を始める。音声放送だけでなく,文字情報や静止画,動画も合わせて放送。番組を聴きながら,放送中の楽曲の有償ダウンロードなどができるようにする。当面の視聴可能エリアは東京と大阪に限られるが,今後は名古屋や福岡など都市部を中心にエリアの拡大を進め,2011年には全国で視聴可能とする計画だ。

 端末はソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製。折りたたみ式の筐体を縦方向にも横方向にも開ける構造を採った。ワンセグ受信機能も備えており,ソニーと共同開発した240×432画素の3インチ液晶パネルを搭載している。直径16mmのスピーカをキー・パネルの両側に配し,米DiMAGIC, Inc.の再生帯域拡大技術「DBEX」を搭載した。


「W44S」。筐体色はブラック,シルバー,オリーブの3種類を用意した。

LISMOでビデオクリップ配信

 KDDIは同時に,音楽配信サービス「LISMO(au LISTEN MOBILE SERVICE)」で音楽ビデオ・クリップの動画配信を始めると発表した(発表資料)。音声の符号化にはHE-AAC規格を,映像の符号化にはH.264規格を用いる。表示画面サイズは320×240画素。サービス開始時にはEzwebの6つの提供サイトから約2000曲が提供される。

 ダウンロードしたファイルはパソコン用ソフトウエア「au Music Port」を通じてパソコンに保存できるほか,作品によっては音声を携帯電話の着信音にも設定できる。利用料は1曲につき税込み315~630円程度になる見込み。対応端末はW44Sのほか,「DRAPE」「W47T」。今後発売するWIN端末では標準対応とする予定だ。

 これに合わせてKDDIは「au Music Port」のバージョン・アップを発表した。最新版の「3.0」では,LISMO独自のファイル形式だけでなく,AAC(.m4a),WMA,WAV形式のファイルをインポートできる。従来版を利用しているユーザーも無償で最新版に更新できるようにするという。


記者会見にはEXILEが登場。KDDIは,彼らが歌うauのCMソング「Lovers Again」のビデオクリップなどをLISMOユーザーにプレゼントするキャンペーンを予定している。