HeadCase Humanfacturing社の技術を使ってオンライン・キャラクターの属性を決めている様子。同社のツールでは,写真の右下にあるウインドウでキャラクターの感情の属性を調整する。出来上がったキャラクターは人々や他のキャラクターと自然言語ででやりとりができる。このやりとりから,人々の感情を理解することも可能。こうしたキャラクターは,新しい状況に適応することができるという。
 HeadCase Humanfacturing社の技術を使ってオンライン・キャラクターの属性を決めている様子。同社のツールでは,写真の右下にあるウインドウでキャラクターの感情の属性を調整する。出来上がったキャラクターは人々や他のキャラクターと自然言語ででやりとりができる。このやりとりから,人々の感情を理解することも可能。こうしたキャラクターは,新しい状況に適応することができるという。
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 米国のベンチャー企業HeadCase Humanfacturing, Inc.は,2006年11月7日~8日に米サンノゼ市で開催した「Consumer Technology Ventures 2006」会議で,同社のオンライン・キャラクター向けAI(artificial intelligence)機能の向上技術を初公開した(同社のWWWサイト)。この技術を使うと,オンライン・キャラクターが人の感情を理解したり,人や他のキャラクターとのやりとりを記憶したり,オンラインの情報を調べたり,新い状況に対応したりできるという。同社は,オンライン・ゲームや個人のブログに登場するアバター,オンラインの顧客管理システムなどに適用できると考えている。「たとえば,オンラインの仮想世界のユーザーが,当社の自然言語処理技術を用いたキャラクターと会話していたとする。ユーザーが突然怒った口調でキャラクターに話しかけると,キャラクターはこの人は怒っていると判断して,事態を収拾できそうな他のユーザーを呼び出すといった動作ができる」(HeadCase社のCEO,Cathi Cox氏)。なお,同社は今まで米Palo Alto Research Center(旧Xerox PARC)や米SRI International,米NASA Ames Research Center,米Warner Bros. Entertainment, Inc.などで勤めた経験がある社員から成るという。

 キャラクターのAI機能を向上する技術以外に,オンライン・キャラクターの「性格」を簡単に設定できるツールも開発している。ユーザーは,自分で作成したオンライン・キャラクターの感情の属性を設定可能になる。Cox氏によると,今後オンライン・ゲームやブログ・サイトといったオンラインの仮想世界に,ユーザーが自分で作ったキャラクターを自由に持ち込む環境が整う可能性があるという。同社の狙いは,ユーザーが自分の好みに応じてキャラクターを作成し,様々なオンライン世界を経験を積ませて「キャラクターを育てる」こと。「韓国のオンライン世界を見ると,こうしたアバターは人々が交際するときに使う道具の一つになりつつあると思う」(Cox氏)。

 Cox氏によると,同社の技術は基本的にサーバーに依存する。ただし,他のソフトウエアが連携できるようにするためのAPIを提供する考えである。既にHeadCase社は,技術のライセンス供与を数社と交渉中という。同社の技術を採用するキャラクターは2007年前半に公開する予定。