認証時には,液晶画面に瞳の画像が写る
認証時には,液晶画面に瞳の画像が写る
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沖電気が出展した各種携帯電話機とPDA。カメラだけでなく,小型の照明が必要になる。
沖電気が出展した各種携帯電話機とPDA。カメラだけでなく,小型の照明が必要になる。
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 沖電気工業は,東京都港区で開催した同社のプライベート・セミナー「OKI情報通信融合ソリューションフェア2006」で,携帯電話機やPDAを用いた「携帯アイリス認証技術」のデモンストレーションを公開した。同社は以前から虹彩(アイリス)認証技術を開発し,認証システムを製品化済みだが,携帯電話機で利用可能にしたのは今回が初めて。携帯電話機を利用した電子決済サービスが広がるなか,端末のセキュリティが重要になると判断した。同社は2007年3月に,ミドルウエアを携帯端末メーカー向けに発売する計画である。

 今回の携帯アイリス認証技術と従来の同社の虹彩認証技術との大きな違いは,(1)専用のハードウエアが不要になった,(2)特殊な赤外線カメラではなく,携帯電話機付属の小型カメラで利用できるようにした,(3)従来の1Mバイトと大きかったミドルウエアを,今回新しく開発しなおして約100kバイトにした,などの点である。

 認証は,携帯電話機のカメラを数秒間見つめるだけ。本人ならばそのまま,携帯電話機が利用可能になる。他人であれば,エラーになって携帯電話機は利用できない。

 携帯電話機の条件としては,「100万画素以上のカメラが搭載されており,同時にライトが備わっていること」(沖電気)。ライトが備わっている携帯電話機は,フィンランドのNokia社の製品などにあるという。

 今回,ミドルウエアの大きさを従来の1/10にしたため,「本人でない人を誤って認証する確率が従来の120万回に1度から,10万回に1度に増えてしまった」(同社)。しかし,現在の携帯電話機のロック用暗証番号はほとんどが4ケタ。「4ケタは1万回に1度の確率で誤る計算で,アイリス認証を使うほうが安全性は高い」(同社)という。

 直射日光が当たる屋外では,瞳に周囲の景色が映り,それが雑音になるため,「自分を受け付けないエラーが増える」(同社)。このため,屋外では日陰などでの利用を推奨するという。