図1 ルネサス テクノロジ 会長&CEOの伊藤 達氏
図1 ルネサス テクノロジ 会長&CEOの伊藤 達氏
[画像のクリックで拡大表示]
図2 2006年度上期業績
図2 2006年度上期業績
[画像のクリックで拡大表示]
図3 2006年度上期の事業別概況
図3 2006年度上期の事業別概況
[画像のクリックで拡大表示]
図4 2006年度下期以降の見通し
図4 2006年度下期以降の見通し
[画像のクリックで拡大表示]

 ルネサス テクノロジは,報道機関向けの会社説明会を2006年11月7日に開催し,2006年度上期業績や通期見通し,2007年度以降の取り組みなどを説明した。2006年度上期(2006年4~9月)の当期利益は62億円であり,3半期ぶりに黒字を確保した。売上高は前年同期比で約8.5%増の4767億円,営業利益は前年同期の5億円から140億円に拡大した。携帯電話機やデジタルAV機器向けのSoC(system on a chip)事業の売り上げが拡大したことで同事業としては初めて黒字化できたことに加え,自動車やOA機器に向けたマイクロコントローラの売り上げも好調で利益を増やせた。携帯電話機向けパワー・アンプの売り上げが不調だったRF IC事業や,単価下落に加えて顧客が内製化を進めたこと大口顧客の需要が落ちた液晶ドライバIC事業は苦戦したものの,これらマイナス要因を好調なSoC事業とマイクロコントローラ事業がカバーするかたちで上期の売上高と利益が拡大した。

SoC事業で大きなマイルストーン


 中でも黒字化したSoC事業は,2006年度上期が「ルネサス テクノロジにとっての大きなマイルストーンだった」(同社 社長&CEOの伊藤 達氏)と貢献度の高さを強調した。ルネサス テクノロジにとってのSoC事業は,これまでは先行投資の段階であって利益を生み出すには至らなかった。2006年上期になり,いよいよ収益に寄与するようになった。SoC事業やRF IC事業を含む「システムソリューション」の分野は,2005年度は数十億円の赤字。それが,2006年度上期に数億円の黒字に転換し,同下期にはさらに利益を上げて2006年度通期では数十億円の黒字を実現したいとする。

下期は上期より業績悪化,しかしSoC事業は好調


 2006年度下期の業績については,「上期より悪化する」(伊藤氏)とみる。ルネサス テクノロジの見通しでは,売上高が前年同期比で約1.4%減の4600億円,営業利益は同29%減の90億円。液晶ドライバICやRF ICの事業が引き続き低調な上に,テレビや携帯電話機など一部機器が在庫調整のサイクルに入ったことが業績に影響すると推測する。ただし,SoC事業は引き続いて好調を維持し,マイクロコントローラ事業も堅調と見通す。SoC事業とマイクロコントローラ事業が安定的に収益を稼ぎ出していることに加え,液晶ドライバIC事業やRF IC事業を再構築することで,2006年度下期を底に2007年度上期からの業績回復を目指す。