トヨタ自動車専務取締役の鈴木武氏
トヨタ自動車専務取締役の鈴木武氏
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 トヨタ自動車は,2006年度中間期(4~9月)の連結決算を発表した。売上高は11兆4718億円,営業利益は1兆934億円でいずれも「過去最大」(同社専務取締役の鈴木武氏)。前年度同期と比べてそれぞれ15.3%,35.1%増えた。中間期の売上高と営業利益がそれぞれ10兆円と1兆円を超えるのは初めてだという。販売台数の増加や原価改善の努力により,大幅な増収・増益を達成した。

 2006年度中間期の諸経費の増加額は,研究開発費で201億円,設備関連費用で336億円など計960億円。一方,増益要因としては営業面の努力(販売台数の増加)が1500億円,原価改善の努力が400億円である。このほかに,対米ドルや対ユーロの円安による為替差益が1900億円あったことが,大幅な増益を演出している。ここ数年と比べて,原価改善の努力による利益の積み上げ効果が低くなっているが,原材料費の高騰による影響が大きいという。原価改善の努力による増益効果に関しては,通期では900億円を見込んでいる。

 所在地別の業績では,為替が円安に振れたことにより,輸出が多い日本の利益が増えた。2006年度中間期の営業利益は6844億円で,前年度同期の約1.8倍。海外の需要増に国内の増産で対応したことが,増益につながった。国内販売も好調で,軽自動車を除いたシェアは44.7%に上昇。販売車種構成(モデルミックス)も改善に向かっており,この傾向は下期にも続く気配を見せているという。

 米国の営業利益は2505億円と,前年度同期比で6.7%の減少。「Camry」「RAV4」「Yaris(日本名ヴィッツ)」が好調で,販売台数は146万4000台と,前年度同期比で17.6%増えたものの,金融事業における金利スワップの評価損が181億円発生。純粋な営業面では,ほぼ前年度同期並みの利益を確保しているという。下半期には「Tundra」のモデルチェンジで「大型ピックアップ市場に本格参入」(鈴木氏)することで,巻き返しを図る予定。販売奨励金(インセンティブ)は,1台当たりの額では前年度同期よりも下がっているものの,販売台数が増えているため,総額に大きな変化はない。

 欧州は,販売台数も営業利益も増加。「RAV4」「Yaris」「Aygo」が好調で,販売台数は58万9000台と,前年度同期に比べて18.2%増えた。営業利益は660億円で,前年度同期比64.6%増と,大幅に収益性が上がっている。一方,アジアは販売台数も営業利益も減少。インドネシアや台湾の販売が伸び悩み,販売台数は38万2000台と,前年度同期の85.2%にとどまった。営業利益は613億円で,これは前年度同期の81.3%に相当する。販売不振のアジアだが,世界戦略車である「IMV」の域外輸出は依然として好調だという。

 下半期の主なイベントとしては,「カローラ」や「レクサス LS」の全世界展開,前述したTundraの北米市場への投入,中国・広州工場の2直稼働化などを予定している。

 同社は,2006年度中間期の連結決算発表に合わせて,同年度通期の業績を上方修正した。修正後の額は,売上高が23兆2000億円,営業利益が2兆2000億円,純利益が1兆5500億円である。これらの額は,期首の見通しに比べてそれぞれ9000億円/3000億円/2500億円多い。主な修正要因は円安による為替差益で,1米ドル110円,1ユーロ135円という期首の見通しを,1米ドル115円,1ユーロ145円に修正している。ただし,原材料費の高騰による影響も期首より多めに見積もっている。価格が高いのは銅やアルミニウムといった素材だという。

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