村田製作所は2006年10月31日,2007年3月期中間期(2006年4月~2006年9月)の連結業績を発表した。売上高は対前年同期比21.1%増の2771億5500万円,営業利益は同42.9%増の541億1800万円と,増収増益となった。携帯電話機やパソコン,AV機器に向けたコンデンサへの需要が引き続き好調であることと,高周波デバイスにおけるBluetoothモジュールが対前年同期比で1.8倍の売上高を確保するなど牽引役となった。

 製品別の売上高では,コンデンサが対前年同期比26.2%増の1024億円,表面波フィルタや圧電センサを含む圧電製品が同9.9%増の390億円,Bluetoothモジュールやアイソレータ,誘電体フィルタを含む高周波デバイスが同42.3%の599億円,電源モジュールや地上デジタル放送用チューナを含むモジュール製品が同0.9%増の281億円,EMIフィルタやセンサなどその他製品が同12.7%増の468億円である。

 例えばコンデンサに関しては,大容量品がAV機器や通信機器,パソコンなどすべての用途にわたって大幅に増加した。また0603サイズの小型コンデンサも,携帯電話機向けに伸長し,出荷数量が1.8倍,売上金額で45%伸びている。さらにマイクロプロセサ向けの低ESLタイプのコンデンサも,急激な上昇を見せているという。

 圧電製品では,携帯電話機のマルチバンド化の進展を受け,SAWフィルタの利用数が増加し,現在は市場シェアで35%程度を確保しているという。誘電体デュプレクサからSAWデュプレクサへの置き換えが進んでいることも,伸長に寄与した。さらに小型HDD向けの衝撃センサなど圧電センサが,自動車用途を含めて伸びている。一方でセラミック発振子やセラミックフィルタは減少基調にある。

 高周波デバイスではBluetoothモジュールが稼ぎ頭となった。村田製作所は通期で640億円の売上高をBluetoothモジュールで見込んでいるが,「その想定どおりで進んでいる」(同社)という。携帯電話機におけるBluetooth搭載率の上昇による。このほかアイソレータが第3世代携帯電話向け基地局で大幅に伸びているが,誘電体フィルタが減少している。原因としては誘電体デュプレクサからSAWデュプレクサへの置き換えが進んでいることを挙げている。

 村田製作所はこのほか,携帯電話とパソコンの部品需要予測も明らかにした。携帯電話の部品需要台数に関しては,期初予想において9.5億台としていたが,これを9.7億台に上方修正した。一方でパソコンは期初予想と変更無く,2.4億台に据え置いている。

 なお同社は,部品在庫が増加しているとの一部報道についてコメントし,「当社の電子部品においては,そういった状況に無い。コンデンサなどの需要拡大に対して,相変わらず供給は切迫している」とした。このため,大容量コンデンサなどの生産設備増強などを含め,設備投資額を1000億円と,当初計画から200億円積み増す方針も明らかにした。

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