東芝は2006年度の中間期(2006年4月〜9月)連結決算を発表した。売上高は対前年度同期比9%増の3兆1620億円。営業利益は対前年同期比で138億円増の652億円となった。2006年度の期初予想を上回る実績で,対前年同期比では全部門で増収,デジタルプロダクツ部門を除く部門で増益を果たした。

PC関連部門以外は軒並み好調

 利益面では電子デバイス部門と社会インフラ部門が好調で,前者は対前年同期比36%増の569億円,後者は同213%増の106億円の営業利益を挙げた。家庭電器部門も赤字だった前年同期から72億円の増収を果たし,11億円の黒字を計上した。

 電子デバイス部門は,基幹の半導体事業でメモリ,システムLSI,ディスクリートのすべてが好調で,対前年同期比14%増の5611億円の売上高を達成した。売上高の内訳は,メモリが2070億円,システムLSIが2380億円,ディスクリートが1160億円である。液晶事業も同13%増の1522億円の売上,14億円の営業利益を計上した。社会インフラは社会システムと医用システムの改善で売上高は横ばいながら,増益を果たした。

NANDは好調ながら価格下落幅が「予想以上」

 このうち半導体事業は,直近の第2四半期の営業利益は449億円と対前年同期比横バイの水準にとどまっており,期初見込みを111億円下回った。その主な要因は,NAND型フラッシュ・メモリの販売価格の下落幅が同社の期初予測を上回ったことである。同社は期初には30~35%/年のペースを予測していたが,実際には50%/年のペースで価格下落が進んでいるという。こうした状況を受けて,同社はNAND型フラッシュを主力とするメモリの通期売上高見込みを4590億円と,期初見込み(5049億円)に比べて459億円下方修正した。半導体事業全体の売上高は,期初見込み1兆2500億円を500億円下回る1兆2000億円,営業利益は期初見込み1650億円を250億円下回る1400億円を計画する。

 下期には,NAND型フラッシュの価格下落が上期に比べて緩やかになると同社は見込んでおり,生産量を引き続き拡大していく。下期末の生産量は,64Mビット品換算で3億個と上期末に比べて50%増加させる計画である。この結果,2006年度末の生産量は対前年度同期比180%増になる。下期は,上期に大幅な改善があったとするシステムLSIが引き続き好調と同社は見ており,NAND型フラッシュと合わせて対上期比100億円の増収を見込んでいる。ディスクリートの売上高は上期と同水準と見る。第3四半期と第4四半期の比較では,56nm世代のNAND型フラッシュの量産を本格化させる計画の第4四半期の方が,第3四半期に比べて半導体の売り上げが高まると予測している。

パソコン事業は不振,テレビ事業は回復傾向

 一方,デジタルプロダクツ部門は対前年同期比13%増の1兆3159億円の売り上げを計上して増収を果たしたものの,前年同期の67億円の黒字から今中間期は76億円の赤字になった。上期だけで74億の損失を計上したパソコン事業の不振が足を引っ張った。ただしパソコンを除くと比較的好調。1.8型HDDに強みを持つストレージ・デバイスは増益を果たし,テレビも回復しつつある。テレビ事業は2006年第1四半期こそ赤字だったが,第2四半期は黒字を計上した。シャープに次いで2位の12%の国内シェアを持つ携帯電話機事業も好調を維持している。

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