富士通は2006年10月27日,国内で販売したノート・パソコンに搭載されているLiイオン2次電池モジュールが発熱し,火花が出る事故が2006年10月24日に1件起きた,と発表した。

 事故を起こしたのは,現在大規模な回収が進められているソニーエナジー・デバイス製電池セルを使った電池モジュールである。富士通は2006年10月20日から,国内で販売したパソコンを対象に,電池モジュールの無償交換受付を実施していた。

 今回の事故を受けて富士通とソニーが共同で調査した結果,「電池モジュールそのものに起因する問題であるとの共通認識に至っている」(富士通)という。現在,両社で原因の詳細を調査中だ。

 これまでに米Dell Inc.や米Apple Computer,Inc.から発火事故が報告されているパソコンは,ソニーエナジー・デバイスの「G7」という型番の電池セルを使っている。G7の容量は2400mAhである。一方,今回事故を起こした富士通のパソコンが搭載しているのは,G7と同様の設計で,同様の生産設備を使った2600mAhの「G8」とみられる。

 ソニーはこれまで,電池セルの発火事故に関して「セルの製造工程でセル内に金属微粒子(電池缶の内側のNiメッキが発生源の一つ)が入ったことに加え,Dell社やApple社のパソコン側のシステム構成の影響を受けた。ただし,他社のパソコンのシステム構成では発火事故に至るほどの影響は受けない。ユーザーの安心のために交換プログラムを行う」と説明していた。発火に至るのはまれなケースとはいえ,今回の事故は「他社のシステム構成では問題ない」とする見解に甘さがあったことを示している。

 パソコン・メーカー各社が進めている無償交換プログラムの対象機種を使っているユーザーは,早期に電池モジュールを交換するとともに,交換するまでの間は使用時に注意する必要がありそうだ。

 富士通は同社のWWWサイトで,無償交換対象の電池モジュールを搭載したノート・パソコンの顧客向けに,以下のような使用上の注意を促している。 
1.電池モジュールを外してなるべくACアダプターを接続した状態で使うこと,2.電池モジュールを搭載して使う場合はACアダプターとの併用は避け,通常の温度範囲内で使うこと。タオル,カーペット,ソファーなど,熱のこもる場所,ホット・カーペットの上など,発熱する場所での使用は避けること,3.電池モジュールを充電する際にはパソコンから離れないこと。