フィンランドNokia Corp.は2006年10月26日に東京都内で記者説明会を開催し,今後の研究開発の方針について解説した。

 同社上級副社長 兼 最高技術責任者(CTO)のTero Ojanpera氏は,今後の技術の注力分野として「インターネットの取り込み」「(S60などの)ソフトウエア・プラットフォーム」「アプリケーション・ソフトウエア開発者のための一貫性のあるアーキテクチャ」「複数の無線通信技術のサポート」を挙げた。特に2007年は,インターネットの取り込みに力を入れるという。「Web2.0」と呼ばれるような,ユーザー自身がコンテンツやサービスを開発するような動きがモバイル分野にも波及すると考えており,ソフトウエア開発者が多いJavaやFlashを採用するなど端末のオープン化を一層進めるとする。

 無線通信技術については,「セルラー」「ブロードキャスト」「ホットスポット」「近接通信」の4種類に分類する。セルラー技術としては「LTE(long term evolution)」「HSPA」「W-CDMA」「GPRS/EDGE」「CDMA 1x EV-DO」,ブロードキャストは「MBMS」「DVB-H」「FM無線」,ホットスポットは「無線LAN」「UMA(unlicenced mobile access,ホットスポットにおけるGSMベースの音声/データ通信サービス)」,近接通信は「Bluetooth」「UWB」「無線タグ」「NFC(near field communication)」を挙げ,Nokia社としてはユーザーや通信事業者の要望に合わせてすべてをサポートする方針だ。

 会見に同席し同社の研究活動を報告したノキア・リサーチセンター東京 所長の中川義克氏は,「ある特定分野を磨くだけでなく,複数分野の融合があって初めて大きなインパクトを生む」と語った。携帯電話機を構成する要素技術としてパワー・マネジメント,材料,構造,カメラ・光学,エレクトロニクス,人間工学,通信技術,ソフトウエア,音声とビデオ,アルゴリズムなどを挙げながら,これらの要素をうまく組み合わせることで端末の価値を高めていくとした。さらに,現在の端末開発の中心になっている技術革新が,GSMやGPRSという従来の通信技術からインターネット技術へと移行する分岐点にいるという考えを示した。