図1 携帯機器のコンセプト・モデル「Onyx」
図1 携帯機器のコンセプト・モデル「Onyx」
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図2 タッチ・パネル「ClearPad」。静電容量方式を採用
図2 タッチ・パネル「ClearPad」。静電容量方式を採用
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 米Synaptics Inc.は,液晶パネル上に張り合わせたタッチ・パネルからすべての入力を実行できるようにした携帯機器のコンセプト・モデル「Onyx」を日本で初めて公開した(図1)。一般的な携帯機器が備えているキー・パッドを一切省いた。液晶パネルに映し出した画像を指で直接触れたりなぞったりすることで,音楽プレーヤー機能や音楽データのダウンロード機能,携帯電話機能,カレンダ機能,地図表示機能などを操作する。Onyxの開発に当たっては,ドイツの工業デザイン会社Pilotfish GmbHと協力した。

 Onyxは,Synaptics社が開発した「ClearPad」と呼ぶ静電容量方式のタッチ・パネルを搭載する(図2)。同社は, ClearPadの使い方をOnyxによって提案し,機器メーカーにClearPadの採用を促したい考えである。同社は静電容量方式のタッチ・パッドを手掛ける大手メーカーであり,ノート・パソコンや米Apple Computer,Inc.の「iPod」をはじめとする携帯機器に数多くの納入実績がある。コンセプト・モデルに搭載したClearPadは,従来のタッチ・パッド技術を透明フィルムで実現できるようにしたもの。

 透明フィルムは厚さが0.7mmであり,光の透過率は89%を確保しているという。2007年1月にClearPadの出荷を始める予定。画面寸法としては,まずは4~4.5型までの大きさになるという。将来は画面寸法を大きくし,カーナビなどの車載機器やノート・パソコンの液晶パネルに重ねられるようにしたいとする。

 携帯機器など小型液晶パネルに重ね合わせるタッチ・パネルは,抵抗膜方式が主流である。Synaptics社は,抵抗膜方式に比べて静電容量方式の方が機械的な応力への耐性が高く,寿命が長いと主張する。なお,抵抗膜方式はパネル表面を触れていない状態で電力を消費しない特長がある。