セイコーエプソンは,2006年度中間期(2006年4月~9月)の業績予想の見直しを行った(発表資料)。連結売上高は2006年4月時点の7060億円との予想から6773億円に引き下げた。一方,営業利益は20億円から209億円へ,110億円の赤字を見込んでいた純損益は4億円の黒字に,それぞれ上方修正した。前年同期に対しては6%の減収になるものの,約250%の増益になる見込みだ。

 売上高の下方修正は,三洋エプソンイメージングデバイスが手掛けるTFT液晶パネル事業の不振が主因という。携帯電話機以外の需要が前回予想を大幅に下回ったとする。さらに,情報機器事業で機種の絞り込みなどを行い,販売数量を減らしたことも売り上げにはマイナスの影響を与えた。

 減収にも関わらず,利益を上方修正したのは,インクジェット・プリンター事業の収益改善によるもの。地域ごとにきめ細かいマーケティングを行ったことや固定費削減,円安などの効果で大幅な利益増を見込む。

通期も液晶パネル事業は苦戦

 中間期の利益予想を前回予想の10倍にまで引き上げたエプソンだが,通期(2006年4月~2007年3月)については利益指標はすべて前回予想のままとする。営業利益が前年度比55%増の400億円,純利益は140億円(前年度は179億円の赤字)である。インクジェット・プリンターは価格競争の激化などで下期に利益率が低下すると予測されるため,予想に上乗せすることなく,当初の利益目標達成を目指す。

 売上高は通期分についても下方修正を行った。前回予想の1兆5550億円に対して1兆4290億円とする。前年度に対して約8%減になる見込み。TFT液晶パネルの携帯電話機以外の需要が下期も伸び悩むほか,携帯電話機向けも客先の需要変動によりアモルファスTFT液晶パネルやMD-TFD液晶パネルの販売数量が減り,同事業は大幅な減収になる見通しという。