「携帯電話市場をさらに大きくするには,電波利用料を変えていく必要がある」。KDDI 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は,2006年10月12日に開催されたACCESSのイベント「ACCESS DAY 2006」で基調講演に立ち,今後の電波行政への要望としてこう語った。

 同氏が潜在的な需要があると考える市場の一つが,自動車向けデータ配信や緊急時の位置情報通知,自動販売機のデータ収集などの組み込み市場だという。俗にM2M(machine to machine)と呼ばれる市場である。日本におけるM2Mの市場は,2006年9月末までの累計契約数で138万と,9000万契約を超える携帯電話市場全体に比べると1.5%程度にすぎない。しかし,最近では1カ月間の純増契約数に占める割合は11%を超えるようになっているという。

 ただし,M2Mの多くは通信量がとても少ないため,1契約あたりにかかる電波利用料が新規契約の障害になっているというのだ。電波利用料は無線システムによって異なるが,同氏によるとM2Mの1契約当たりの電波利用料は年額420円,月額では35円になる。用途によってはデータ通信の料金を上回るものもあるため,料金の引き下げを期待するとした。