「これは次世代インターネットの実現に向けて,自然な次のステップだと思う」。米Google, Inc.のChief Executive Officer,Eric Schmidt氏は,米YouTube, Inc.買収に関して開催した報道関係者向け説明会の中で,こうコメントした(Tech-On!関連記事)。

 両社の役員は,同説明会の中で,YouTube社とGoogle社の組み合わせによって生まれる次世代のインターネット動画プラットフォームのビジョンについて説明した。Google社はYouTube社との話し合いの中で,YouTubeのサービスを強化するのに使えそうなGoogle社が持つ技術について説明したという。そしてYouTubeに取り込めそうな機能の候補を,「短時間で20~30個のリストアップして示した」ことを明らかにした。具体的にGoogle社のどのような技術が, YouTubeに取り込まれるのかは公表されなかったが,検索や広告関連の機能である可能性は十分にある。

 Google社のCo-Founder兼Technology担当President,Sergei Brin氏は,「ユーザーがインターネットで検索する際に,(キーワードに関連する)動画が結果とともに表示されたらより良い検索ができるようになるだろう。(現在の検索システムは,WWWサイトにあるテキスト情報が中心だが,)動画検索は,インターネットの総合的な検索システムを実現する中核の技術になり得る。動画は広告媒体としても強力なので,(YouTubeのような動画サービスは)広告配信に優れたサービスになると思う」。

 今後の展開の一例として, YouTubeでユーザーが好みそうな動画コンテンツを推薦する機能を,Google社の技術を使って強化する方針であることも示された。ただし, 「YouTubeのサービスにデータ・マイニング機能を搭載する予定はない」としている。ユーザーのプライバシー侵害を避けるためと思われている。

 YouTube社は,現在問題になっている著作権違反のコンテンツのアップロードに対して,2006年11月に新たなシステムを公開する予定である。これは著作権保有者の要求によってYouTubeのサイトから削除したのと同じコンテンツを,ユーザーがアップロードしようとしたときに,音声認識技術を使ってアップロードを防ぐシステムである。

 こうしたシステムをGoogle社の技術を使って強化する可能性もある。「我々は,以前から著作権保有者の権利を守る体制の構築について強調してきた。Google社が持つリソースを活用すれば,こうした著作権保護システムをさらに強化できる」とYouTube社のCEO兼Co-Founder,Chad Hurley氏は述べた。